25歳で仏門に入り、ネットワークを広げて人脈を築いてきた友光氏。お経の中に『石を投げつけられるような場に行け、そしてそこで説法をして、石を投げられなくなったらまた次の石を投げつけてくる街へ行け。そうやって、決して留まらず、歩み続けろ』という一説があるという。
「僕のように外から入ってきた人間は、最初は先輩たちから。でも彼らに思いが届いて「応援するよ」といわれたら、その次の偉い人に怒られます。そして次は別の宗派の方に。そしてもっと偉い方に。正直怖いですし、寺社フェスなんてふざけている、とお叱りを受けることもあります。でもそれは、ようやくそこまで情報が届いたということ。だから批判されていい。説明をすればいいんですから。そして次の偉い人にまた頭を下げに行く。そうやってここまできました」
これまでの活動が認められ、支援者や団体、企業からの信頼につながり、今や5年前には到底想像もつかなかった環境にある。
常行寺の開創は848年。今の住職が引退すると友光氏が64代目の住職となる。「今の住職は、僕がただイベントをしたいのではなく、それを通して若者と仏教との接点を作ろうとしていることを理解してくれて、自由にさせてくれていることに心から感謝している」と友光氏。その友光氏がいずれ住職になれば、365日が仕事だ。
「住職は『住む職』ですからね。そこに居続けることが仕事なんです。だからそれまでは、全力でこの活動を続けたい。夜は浄土宗青年会の人たちと会ったり、イベントに行ったり、メンバーと集まって会計処理の話をしたり、知らないお坊さん、神主さんに会いに行ったり、毎日人と会っています。もちろん、通夜・葬式・法要が入ればそちらが優先ですが。64代を継ぐまで、これが続くと思います」
若者たちに仏教の接点という種を蒔いている友光氏。今は東京オリンピックが開催される2020年、60万人を目標に日本の文化を体験できる場を作ることを目指している。“電通坊主”はその布石を着々と打っている。
(文中写真提供:向源)
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