サイバー犯罪集団を追え!ジャッキー・チェン主演最新作《シャドウズ・エッジ》を解説。一度はオファーを断ったけど…出演決定の背景は?
本作のメガホンをとるのは、2023年の映画『ライド・オン』に続きふたたびジャッキーとタッグを組むラリー・ヤン。原案となったのは、香港映画界の巨匠ジョニー・トー監督作品の脚本を手掛けたヤウ・ナイホイが07年に発表した監督デビュー作『天使の眼、野獣の街』。
韓国でも『監視者たち』のタイトルでリメーク版が制作されるなど、評価も高い同作の核となる設定を受け継ぎながらも、監視システム、顔認識、ナンバープレート認識など、テクノロジーが進化した現代社会に合わせた要素を新たに織り込み、現代の物語として再構築した。
本作の中核をなすのは、かつて香港に実在した特殊部隊をモデルにした“追跡班”の存在だ。彼らは長期間にわたる監視と尾行を専門とし、人間の観察力と洞察力を極限まで研ぎ澄ませて任務を遂行する。ヤン監督は、この追跡班を刑事捜査の原点と位置づけ、犯罪の裏に潜む人間の知恵と心理戦を描き出している。
時代の流れとともに失われつつある尾行や現場経験に基づくアナログな捜査手法で、ハイテクを駆使する犯罪集団に対抗するホワンというキャラクターは、まさにジャッキーのためにあてがきされたものといっても過言ではない。
だがジャッキー自身は当初、『ポリス・ストーリー 香港国際警察』をはじめ、これまで彼が数多く演じてきた「警察官」役のオファーに「もう警察官の役はやめよう。新鮮味がない」といって、一度は断ったという。
近年、ジャッキーは「自分はアクション俳優としてはすべてを出し尽くした。だからこれからはアクションもできる“俳優”になりたい」と公言している。
だが、『ライド・オン』で信頼関係を築いたヤン監督が語る本作のストーリー、キャラクター設定などを聞くうちに、これが単なるアクション映画ではなく、ドラマとしても見応えがある作品になる、という確信を持つに至り、本作への出演を決定する。
レオン・カーフェイのカリスマ的で圧倒的な気迫
そしてヤン監督が「ライオンとオオカミのような、狂った野獣同士の戦いを繰り広げるキャラクター」と評するのが、ジャッキー演じるホワンと壮絶な死闘を繰り広げるレオン・カーフェイ演じるフー・ロンション(傅隆生)だ。


















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