暴落の木枯らしは吹いたがAI相場はまだ終わっていない、今後は「出遅れ株」が物色されて人気化する流れになる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方、「過剰期待の剥落」とは、AI技術への期待が現実の収益性や社会実装を上回る状態が続くと、期待値を評価する株価は上昇するが、業績と株価の乖離が限界に達すると、好材料が続いても株価が下がる現象だ。1990年代のITバブルも、同じような流れで崩壊した。

では、崩壊は訪れるのか、起きるとすればいつか?それは株価が教えてくれる。投資家が日経平均を見ておくポイントは、まず25日移動平均線だ。11月7日現在は4万9031円だが、移動平均線は上昇中であり、今週は4万9000円台半ばから後半になる。

その次は、直近の押し目ポイントである10月14日の終値4万6847円だ。もし、ここを割れると投資家の動揺は大きくなり、次のポイントである10月1日の4万4550円も危うくなり、投資家は「AI相場は終わった」と認識し始めるだろう。

当面の相場動向は?「出遅れ株物色の流れ」に

先週は4日間立ち合いの変則週だったが、4日(火)914円14銭安、5日(水)1284円93銭安、6日(木)671円41銭高、7日(金)607円31銭安の「1勝3敗」で、計2134円97銭安となったが、これは10月末比4.07%安に過ぎない。それなのに、「AI相場が終わったのではないか」という疑念を抱くのは、冷静な判断ではないと思う。

特に、先週末の物色傾向を見ていると、「AI系が引き続き売られ内需系がしっかり」などと言われたが、内需系でもサービスや小売りなどの出遅れ銘柄が中心で、直前に上場来高値となっていた建設は別格だが、銀行など他の内需株は冴えなかった。

また、AI関連が売られているとはいえ、大きく下げているソフトバンクグループの-6.87%(10月31日比-19.82%)に対して東京エレクトロンは-1.35%(同-4.03%)と、それほど下げてはいない。

物色変化の端境期の現象か、あるいは資金が完全移動しないまま、しばらく出遅れ株の物色人気となるのか。もし、後者であれば「日経平均史上最高値の割には、持ち株は上がっていない」と不満であった投資家の気持ちが晴れるような流れが来ることになる。

もちろん、中間決算発表の結果次第だが、その傾向が鮮明になるような気がする。「木枯らしの帰るところ」は「一般投資家が喜ぶ相場」ではないかとみている。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事