暴落の木枯らしは吹いたがAI相場はまだ終わっていない、今後は「出遅れ株」が物色されて人気化する流れになる
それでも、投資家の間でAI相場の崩壊が心配されるのは、AI相場の構造に疑義があるからだ。
AI相場崩壊は「循環取引の露呈」と「成長期待剥落」で起こる
今から約半世紀前である1970年代の経済の中心は「石油」だった。そこに資金が集まり、あふれた資金がオイルマネーとして株式市場を席捲した。今、経済の中心はAIであることは間違いなく、同じように資金が集まり、あふれた資金がAIマネーとして株式市場を席捲している。ただ、形ある石油には限界があり、石油マネーは有限だが、形のないAIには限界がなくAIマネーは無限だ。
しかし、1990年代のITバブルには、相場の神様ウォーレン・バフェット氏は「わからない」と言って参加しなかった。そのとき、多くの投資家は、「バフェット時代は終わった」と言いあったが、結果は承知のごとくバフェット氏の圧勝となった。
今回も、氏は形あるアップルでは儲けたが、AI相場には乗り切れず、早めの現金化で巨額な資金を抱えて迷走し、評価を下げている。もし、今後の展開で「相場の神様バフェット氏」が勝つとしたら、それはAI相場の崩壊を意味する。個人投資家にとっては気が気ではないわけだ。
そのAI相場の崩壊は「循環取引の露呈」と「成長期待の剥落」で起きることになりそうだ。実際、市場の一部では、AI企業同士の「循環取引の露呈」をいぶかる声が出始めている。「循環取引の露呈」とは、企業同士が互いに資金を供与し合い、自社製品を買わせる構造で、売り上げや需要は水増しされ、実質的には同じ資金が企業間を循環しているだけで、実需以上の規模となり、収益の実態が不透明になる。これが市場に認識されることだ。
この典型例としては、オープンAIはエヌビディアから15兆円の出資を受け、同社製のGPUをオンデマンドで供給する企業であるコアウィーブにオープンAIが出資し、そこにマイクロソフトが絡んで、GPU・クラウド・AIモデルを相互に契約し合う構造だ。また、4年間で5000億ドル(約77兆円)規模の契約が締結されている「スターゲートプロジェクト」(アメリカのAIインフラ構築官民連携計画)も、結局このような「循環取引」ではないか、と見る向きもある。


















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