熊本は「第二の台湾」になるのか? TSMC進出が招いた"豊富な水"が枯渇する日
世界の半導体市場は、AIの普及やデジタル化の進展によって、今後も拡大が見込まれています。世界の半導体市場は2022年には約6180億ドル、2030年には1兆ドル規模に達する可能性があると予測されています。
このようななかで、半導体生産地の立地条件も変化しつつあります。かつては労働力や税制優遇が重視されていたのに対し、いまでは「水」の存在が極めて重要な判断要素となっています。TSMCによる熊本進出は、その象徴的な事例と言えるでしょう。
さらにTSMCは、2024年に稼働した第1工場の東側に約32万1000平方メートルの敷地を確保し、第2工場の建設を計画中です。投資額はおよそ2兆円と見込まれています。
水を差し出す自治体と地下水のリスク
TSMCの進出は、熊本の地価上昇や雇用拡大を通じて地域経済に明確な影響を与えています。かつて「シリコンアイランド」とも呼ばれた九州は、長らく産業の空洞化に悩まされてきましたが、TSMCの進出を契機に、熊本は再び「半導体バブル」に沸いています。
2025年1月1日時点の公示地価では、熊本県内の住宅地・商業地が8年連続で上昇し、特にTSMCの工場が建設された菊陽町周辺の上昇幅が際立っています。
ただし、半導体工場が水資源が豊富な土地を求める動きは、外資系企業に限ったことではありません。2022年に設立されたラピダスは先端半導体の量産を目指して北海道・千歳市に工場を建設中です。千歳市は交通アクセスに優れ、地震リスクも比較的低いことに加え、広大な土地と豊富な地下水資源が、企業にとって大きな魅力となりました。
各地の自治体もまた、水資源の豊かさを武器に、半導体工場の誘致に力を入れ始めています。外資系に限らず、国内企業を含めた半導体産業の集積をめざし、送電・水インフラ整備、補助金・特区制度の整備が進められています。



















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