「データセンターが水を奪う⁉」 AIインフラ爆増の裏側でグーグルが隠蔽した"水使用量"

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水の戦争
水がテクノロジーの発展を左右する「インフラのインフラ」となっています(写真:Table-K/PIXTA)
AIの発展を支えるデータセンター市場は急成長しています。しかし、巨大なデータセンターは、機器冷却のために膨大な水を消費しており、ついに大手テック企業による水利用の「情報隠蔽」という形で表面化しました。本稿では、『水の戦争』より一部抜粋のうえ、AI時代を支えるデータセンターの水資源をめぐる熾烈な競争と、地域社会との深刻な摩擦の実態に迫ります。

データセンターに適している立地

データセンターの数は加速度的に増えています。カナダの調査会社プレセデンス・リサーチのレポートによると、世界のデータセンター市場は、2025年に3867億1000万ドル(55兆3000億円/1ドル=143円換算)になり、2034年までに1兆865億米ドル(155兆円)まで拡大すると予測されています。

では、データセンターの立地にはどのような場所が適しているのでしょうか。

2024年の時点で、アメリカには5381のデータセンターがありますが、その3分の1がバージニア州に集中しています。

なかでも北部のラウドン郡には、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、メタといったビッグ・テクノロジーのデータセンターが集中しています。その理由をジョージ・ワシントン大学のジョン・E・ビショフ博士は、「高速ネットワーク」「電力」「水」と分析しています。

ラウドン郡では1980年代後半にインターネットエクスチェンジが設置され、信頼性の高い光ファイバー網が整備されています。また、全米平均より約34%安く電力が提供され、電力コストを重視する企業にとって魅力的です。さらに再生水プロジェクト(下水処理場で処理された排水を再利用するなど)によって、データセンターの冷却に必要な大量の水を持続的かつ環境負荷を抑えて供給できる体制が整っています。

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