アップルのiPhone Air、なぜ販売低迷? 薄型スマホが伸び悩む背景とユーザーニーズの乖離
一方、「nubia Air」は厚さ5.9mm、チップセットはエントリークラスだが5Gに対応、カメラは同じ5000万画素のみでバッテリーは5000mAhを搭載している。価格は2万8800ペソ(約7万5000円)と前2機種より高いものの、5G対応で性能も上回っており「薄型高性能モデル」ということで注目を集めている。
薄型スマホが売れるためにはどうすればよいのか
フィリピンの状況を見ると、薄型スマートフォンは性能を落とした分だけ価格も相応に低く設定されている。薄型スマートフォンは高価格なプレミアムモデルではなく、数あるスマートフォンの中から気軽に選べる一般的な製品にすぎないのだ。逆に言えば「薄さ」だけで高い価格を消費者に納得させることは難しい。
モトローラの「X70 Air」も中国での価格は2399元(約5万2000円)から。5G対応で5000万画素カメラに4800mAhバッテリーを搭載する。10万円オーバーのアップル、サムスン電子の製品より十分安い。仮に高性能なチップセットを搭載して高価なモデルにしたら、売れ行きは鈍いものになるだろう。
とはいえアップルとサムスン電子が他メーカー同様に低価格な薄型モデルを出すことは難しい。アップルは高価格帯の製品でブランド力を維持する必要があるし、サムスンは「Galaxy A」シリーズとしてすでに多数の低価格モデルを展開している。薄型モデルをそのラインナップに加えることは難しい。
アップルにとっては「iPhone Air」が全世界でeSIMのみ対応のため、規制の厳しい中国での販売が遅れたこともマイナスに作用している。最終的に約1カ月遅れで販売が始まったが、中国の消費者も「iPhone Air」への反応は冷ややかだ。
アップルやサムスン電子が薄型モデルを出すのであれば、本体の材質やデザインをより強化した高級モデルとして、プレミアム感溢れる価格の製品として展開するべきかもしれない。20万円、あるいは30万円を超える高価格帯モデルであれば、既存の製品との差別化もできるからだ。この「プレミアムフォン」という新たなカテゴリの製品が成功すれば、既存のスマートフォンに満足しない層を取り込むこともできるだろう。
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