アップルのiPhone Air、なぜ販売低迷? 薄型スマホが伸び悩む背景とユーザーニーズの乖離

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一方薄型化の代償として機能はある程度絞られているが、スマートフォンにシンプルな機能を求めている人にとってはそれがむしろありがたい存在だろう。「iPhone Air」は1つの広角カメラしか搭載していないが画質は4800万画素であり、凝った撮影をしないのであれば許容できる性能だ。「Galaxy S25 Edge」は広角が2億画素、超広角が1200万画素とより性能が高く、日常的な撮影シーンを十分カバーできる。

このように薄型スマートフォンにはそのサイズからくるメリットが大きく、海外では他のメーカーからも次々と製品が投入されている。日本でもスマートフォンを展開するZTEのnubiaブランドからは「nubia Air」、同じく大手メーカーであるモトローラは「Edge 70」(グローバル向け)と「X70 Air」(中国向け)を発表。さらに新興国に強いテクノからは「Pova Slim」「Spark Slim」と2つの製品が登場している。

nubia Air
日本投入も考えられるnubia Air(筆者撮影)

さらにあのファーウェイも薄型な「Mate 70 Air」を出すなど、多くのメーカーが「Air」や「Slim」と名前を付けたモデルの投入を検討している。このように2025年は薄型スマートフォンがブームとなるはずだったのだ。ユーザーのスマートフォンの選択肢が「ハイエンド」「ベーシック」「エントリー」のように機能で区分されるのではなく、薄型スマートフォンの登場により「薄さと軽さ」という新たな価値が提供されるはずだった。

事前人気を大きく下回る需要

サムスン電子が「Galaxy S25 Edge」を発表したのは2025年1月、アメリカ・サンノゼで開催されたフラッグシップモデル「Galaxy S25」シリーズの発表会であった。とはいえ「Galaxy S25 Edge」の詳細な性能は公表されず、実機に触れることのできない状態で展示だけが行われた。それでも世界中から集まったジャーナリストたちは発表会での目玉製品である高性能カメラ搭載のハイエンドモデル「Galaxy S25 Ultra」よりも、この薄型モデルである「Galaxy S25 Edge」の外観写真を先を争って撮影していた。

ところが蓋を開けて見るとアップルとサムスン電子の薄型モデルは発売後の販売数が伸び悩んでいる。海外取材を続けている筆者は各国のサムスン電子の店舗を訪問したが、来客の多くが注目するのは折りたたみ型のスマートフォンや手ごろな価格で買えるコスパモデルだ。店舗によっては「Galaxy S25 Edge」の薄型を誇示する展示台を置いて製品のアピールを行っているが、来客の反応は鈍い。

Galaxy S25 Edge
スペインの家電量販店に展示されるGalaxy S25 Edge(筆者撮影)
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