企業の海外進出激増、円建て取引拡大に加え米国銀行買収も視野に

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 1980年代から90年代にかけて、「円の基軸通貨化」が熱い議論となったことがある。「アジア経済圏における基軸通貨の役割を円が担うべきではないか」という論旨だった。今振り返ると、ずいぶん威勢がよかった話だと思う。

今でも、こうした主張が消えたわけではない。時として浮上することはある。しかし、そのほとんどは、「このままでは、アジア経済圏の主要通貨の位置を奪われかねない」というもので、円の通貨価値向上を唱えてはいても、結局は中国の人民元への恐怖心を反映したものだ。

確かに国際経済の中で、人民元が存在感を強めているのは間違いない。情けないが、こうした思いは現実的なものといわざるをえまい。

しかしそうした観点とは別に、円建て取引の拡大努力は、やはり必要になっているのではないだろうか。日本企業の海外進出、移転の激増を見るたびに、そう思わざるをえない。

海外進出企業の激増

大企業はもちろん、中堅企業から中小企業まで、生産拠点をアジア諸国に移す動きが長らく続いている。移転先の諸国は人件費などの生産コストが低いうえ、多くは成長が著しく、消費市場も巨大化しているからだ。こうした企業行動は、国際競争力の維持・向上という観点から見てまったく合理的である。

円高がそうした企業行動に拍車をかけていることも、今さら説明するまでもないだろう。

さて、企業に対する「海外進出支援」を繰り広げているのは、金融業界である。メガバンク、地方銀行から有力ノンバンクまで支援ビジネスを競い合っている。これらの支援は、海外進出が未経験の中堅・中小企業にとって欠かせないものに違いない。したがって金融業界には、今後も精緻で有効なメニューを提案することが要請されている。

だがその一方、ふと考えさせられることがある。国際取引に使われる通貨は、ほぼ米ドルといって間違いないが、邦銀が今後、ドルを供給し続けられるのか。商業銀行の場合、3カ月の短期資金を繰り返し提供し続けるパターンが通常の金融形態である。国際金融市場によほどの変調が発生しないかぎり、短期資金を提供し続けることはできる。

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