オープンAIのブレット・テイラー会長、「もしAIバブルが崩壊したとしても、それほど悪いことではないかもしれない」

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ブレット・テイラー氏(サンフランシスコのシエラ・テクノロジーズ本社で)Photographer: Christie Hemm Klok for Bloomberg Businessweek

対話型人工知能(AI)ChatGPTの開発会社OpenAIの会長でAI新興企業シエラ・テクノロジーズ共同創業者のブレット・テイラー氏は、現在のAIブームをドットコム・バブルと重ね、成功がいかにして崩れ去るかについて思いを巡らせている。

スタンフォード大学キャンパス近くの屋外カフェで取材に応じたテイラー氏(45)は、自身が学生だった1999年当時の熱狂を振り返る。学生のラボにサン・マイクロシステムズの高価なワークステーションが並び、人気のIT企業が無料のピザで学生を勧誘していた時代だ。

しかし間もなくドットコム・バブルが崩壊し、ピザも就職オファーも、5兆ドル(約770兆円)の時価総額と共に消えた。サンの株価は最大96%下落し、今ではその名を知る学生も少ない。テイラー氏は、自身を含めたコンピューターサイエンス専攻の学生にとって、「シリコンバレーのブームとバブルのサイクル」は第2の専攻科目だったと冗談交じりに語る。

同氏は今、現在のAIブームを25年前の熱狂と重ねる。人間を超えるAIを約束して巨額の赤字を積み上げる新興企業のバリュエーション高騰や、研究者たちを引き付けるための高額報酬を目の当たりにし、業界が当時の熱狂に近づき過ぎているように感じる。

実際、インタビューの前日にはシエラが100億ドルの評価額で3億5000万ドルを調達するとの報道が出たばかりだった。しかしテイラー氏にとって重要なのは、過去と同じ過ちを回避することだ。「多くの企業が急成長した後に崩壊するのを見てきた。それを恐れ過ぎているかもしれない」と述べ、「自分たちの妄言を信じ込み始めたら、未来を正しく見通せる確率はかなり低くなる」と戒めた。

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