オープンAIのブレット・テイラー会長、「もしAIバブルが崩壊したとしても、それほど悪いことではないかもしれない」
顧客が苦情の電話をかけるたびに、企業側は対応コストとして約20ドルの負担が生じる上に、応対を誤ればブランドイメージの悪化というさらに大きな損失を招く恐れがある。テイラー氏が率いる300人超のチームは、こうした不満を解消するため、テキストや音声でのやり取りを人の介入なしに円滑に完結できるAIエージェントの開発に取り組んでいる。
顧客対応の効率化は、将来的に新たな収益源への入り口にもなり得る。スクエアのカードリーダーが創業者のジャック・ドーシー氏に小口融資やP2P送金(個人間送金)へ進出する道を開いたように、シエラも応用分野を広げられる可能性がある。
こうした課題の解決こそ、テイラー氏が熱中する分野だ。シエラが取り組むのは、慎重派の業界関係者が、次のバブル崩壊を避けるためにテクノロジー業界が追求すべき現実的なAI応用とみなすタイプの事業でもある。消費者はもはや「何番目かのChatGPT」を求めていない。テイラー氏は「上司や取締役を喜ばせるため」の見かけ倒しのAIプロジェクトを追いかけるのはやめるべきだと話す。
とはいえ、もしAIバブルが崩壊したとしても、それほど悪いことではないかもしれないと同氏は考える。ドットコム・バブル崩壊の経験から、一定の「創造的破壊」は健全だと知っているからだ。バブル崩壊で多くの企業が消えた一方、グーグルやアマゾン・ドット・コムのように生き残った企業が次世代の主役になった。
「本当に長く続くテクノロジー企業はごくわずかだ」ということを、テイラー氏は思い出させてくれる。その中には、彼が子供の頃に使っていたパソコンの発展に大きく貢献したビル・ヒューレット氏やデービッド・パッカード氏のように、創業者の名前がスタンフォード大の建物の外壁に刻まれている企業もある。テイラー氏の目標は、そんな時代を超えて残る企業を築き上げることだ。たとえ自分の名前が世に知られることがなくても。
著者:Austin Carr
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