「AI導入→"黒字なのにリストラ"」踏み込む企業が見過ごす重大"落とし穴"

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たとえば、人事・経理・総務の複数タスクを横断的に担当できる社員や、管理部門とエンジニア部門を柔軟に行き来できる人材を育成するということです。

英銀大手のスタンダードチャータード銀行では、社内の「人材マーケットプレイス」(世界従業員の60%が参加)を活用し、社員が「雇用時の職務に関係のない業務」で社内ギグワーカー的に遂行しています。

これにより過剰採用を抑制するとともに、人材不足で手つかずのプロジェクトを進めることで、約13億円の価値を創出したとのことです。

ただし「生成AIへの代替の懸念」は残る

この「多能工化」の実現にあたっては、生成AIによる「人の能力の拡張」が大きな支援要因になります。またそれは「本当に効くリスキリング」を推進するという効果もあるでしょう。

とはいえ、自動化・省力化は、裏を返せば一人ひとりの仕事を奪いかねないリスクをはらんでいます

能力の拡張は、自分の仕事を他者がこなせるようになることも意味する一方で、自分が他者の仕事をこなせるようになるという可能性も開きます。

目先のリストラが回避されたとしても、5年先を見たときに「生成AIに仕事が代替されるのではないか」という不安は残るでしょう。

この点については、次回以降で考えてみたいと思います。

大野 隆司 経営コンサルタント、ジャパン・マネジメント・コンサルタンシー・グループ合同会社代表

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おおの りゅうじ / Ryuji Ono

1986年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。アンダーセン・コンサルティングを皮切りに戦略系、デジタル・IT系、フィナンシャル・アドバイザリー系と複数の外資系コンサルティング会社にて数多くの案件を遂行。ローランド・ベルガー、KPMG FASなどでパートナーを務め2019年独立。現在はDX、イノベーション創発などのテーマにおいて、約70名の独立コンサルタントとともにチームを組成して企業支援を行う。湯河原在住。週末は自宅でドックカフェを開く。愛犬飼育管理士、わな猟狩猟免状を保有。

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