その結果、サービス内容の変更、それに伴う価格の交渉となるわけですが、このとき深刻な問題になるのは、すでに交渉力を失っているケースが多いことです。
相手に「それではできませんよ、受けられませんよ」と突き放されれば、業務停止を避けるために相手の条件を飲まざるを得なくなります。
極端にいえば「相手の言いなり」にならざるを得なくなる、これが“毒饅頭”たる所以です。
この構造は決して特殊な話ではなく、丸投げが多い情報システム分野では数十年前から指摘されていることです(そしていまも解決はされていません)。
経営アジェンダとしての「負荷バランシング」
このような「JV型BPO(という名のリストラ)」という“毒饅頭”に手を出す前に、経営として考えるべきは「企業内部の『負荷の偏在』をどう防ぐか」です。
筆者はこれを「負荷バランシング」と呼んでいますが、この「負荷バランシング」が経営アジェンダであることを、もっと経営陣は認識しなくてはいけないでしょう。
「負荷バランシング」の手段としては、従来型の自動化・省力化に加えて、AIエージェントの活用が有力な選択肢になり、期待できるところです。
AIエージェントは、現時点ではベンダーの過剰な宣伝感は否めませんが、技術進化、導入コストの低下、そして企業の戦略的運用(ここには雇用のあり方も含む)によって、十分実効性のあるものになるはずです。
さらに重要なのは、「負荷の偏在」が人員の増加にならないようにすることです。
つまり、ある部門で業務の負荷が増えたとしても、負荷が高くない部門でカバーすることによって、全体で負荷を均し、人員増を防ぐということです。
これは、言い換えれば「多能工化した集団をつくる」とも言えます。



















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