ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』が"競馬題材"で人気の訳。競馬ファンだけでなく、一般視聴者も夢中に?「有馬記念」に向けて盛り上がりが加速か
競争馬の生産に携わる生産牧場のスタッフ、育成厩舎の調教師など馬側の人間たちと、レースの勝負とビジネスの理論の世界に生きる馬主の間には、それぞれの思惑と使命があり、ときに摩擦や軋轢も生まれる。
そこでは、あらゆる出来事や意志決定が、携わる人それぞれの人生だけでなく、馬の運命にかかわってくる。それゆえに、ビジネス面の経営の理論と、馬を育てる側の感情が、熱量高くぶつかり合い、火花を散らす。しかし、そこには、それぞれのほとばしる熱意と愛情があるから、厚い信頼関係と絆が生まれていく。
毎話、栗須はときに激しく、ときに静かに熱い涙を流す。人にも馬にも真っ直ぐに向き合い、豪快で奔放な耕造に振り回されながらも、身を粉にして動き回る栗須。同じ夢を追う強い絆で結ばれた凸凹コンビは、少しずつ困難を乗り越えていく。そのときどきの彼の頬を伝う涙に心を打たれずにはいられない。
そこには感情を揺さぶられる熱い物語がある。毎話の競争馬たちの運命がかかった馬主と調教師たちのやりとりや、レースの勝負の行方にハラハラどきどきさせられながら、気づけばドラマに深く感情移入している。
競馬ファンもドラマに注目する理由
そんな本作のおもしろさのひとつは、JRAが全面協力をする競馬場や厩舎など競馬の裏側の知られざる実態がリアルに映されていること。
育成厩舎での調教師たちの育成方針や日々の馬の世話や調教の様子のほか、競馬場での出走までの流れや、レース後の動きまでがドラマのなかで描かれる。
そういったリアルは、ドラマに臨場感と迫力を与える。競馬ファンにとっては、よく知る場面かもしれないが、詳細を映像で観る機会は少ないだろう。それが丁寧に映されれば、自然にドラマへの関心は高まる。
一般的な視聴者にとっては新鮮なシーンであり、物語により本物感を得て、惹き込まれる要素になる。
加えて、競馬ファンの心をくすぐっているのが、現役のトップジョッキーがゲスト出演していること。
第1話ではレジェンド騎手の武豊騎手、第2話では今年最速の年間100勝を達成し、勢いに乗る戸崎圭太騎手が、それぞれ本人役でレースシーンに出演し、手綱を取った。放送後には競馬ファンからの驚きと喜びの声や、応援のメッセージがSNSで飛び交った。
次に本人役で出演する騎手は誰になるのか、競馬ファンはレースシーンを心待ちにしているようだ。
本作は、日曜劇場の固定ファンに加えて、競馬ファンも取り込みはじめており、その話題性が一般層にも伝播している。
記録的ヒットになっている映画『国宝』が、歌舞伎ファンの間でも人気を得て、話題がより広がったヒット構造と似ている。この先、本作もさらに世の中的に話題が膨らむポテンシャルを秘めている。


















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