クリニック開業3年目に「水害で壊滅状態」になった医師が"学んだこと"――「ポジティブな言葉が人を健康にする」の意味とは
言葉には不思議な力があります。「言霊(ことだま)」というのを聞いたことがあるでしょう。古来「繰り返し発せられた言葉は本当のことになる」と言われていますが、それは医学的にも根拠があることなのです。
ネガティブな言葉を使い続けると、次のような変化が起こり、体調に影響することがあります。
●ストレスホルモンの増加
コルチゾールが増加すると自律神経が乱れ、交感神経が興奮状態になります。交感神経とは、いわば「闘争」の時に活発になる神経で、交感神経が優位になると、気が立ってイライラするようになります。
心身が常に緊張している状態になりますから、それが疲労感や不眠のもとになってしまいます。疲労が溜まると身体の免疫力が低下し、感染症に罹りやすくなります。
●自己肯定感の低下
否定的な言葉を繰り返すことによって「自分はダメな人間だ」という自己暗示にかかり、自己肯定感が下がります。自己肯定感の低下は不安障害やうつ状態など精神面の悪化に繋がります。
●思い込みによる行動の制限
「どうせできない」「自分はダメだ」などと、否定的な言葉を自分に向かって言い続けると、その気持ちが自分の中でどんどん膨れ上がってしまいます。
マイナスの感情に支配されると、常に気持ちが沈むようになり、人と会うのも嫌になりますし、行動を起こすこと自体が億劫(おっくう)になって、その結果、運動機能も低下してしまいます。
また、否定的な思考が常態化すると、やがて周りの人に対する言葉まで否定的になってしまい、人間関係にも影響するようになります。
駆けつけてくれた患者さんたち
そういう私自身も、かつて否定的な思考に駆られ、深い絶望に沈んだ経験があります。
病院を開業して3年目の2004年に、台風で近くの川が氾濫し、病院が腰の高さまで浸水したことがありました。開業にあたっては当時最新の設備を揃えたのですが、それらの機械が一瞬のうちに水浸しになって、すべてダメになってしまいました。
医療機器というのは大変高価なものです。開業の際に相当な額の借金をしていたのですが、私はさらに大きな借金を背負うはめになりました。


















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