諦めてなかったアップル「新Vision Pro」への熱意 M5チップ搭載の新型で何が変わった?

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しかし、約60万円とあまりにも高価だし、初代モデルはケーブルで繋がれたバッテリーをもってしても一般的使用で約2時間しか持たないし、600~650gと少々重い。価格帯からも、最初から一般向け販売を意図していたわけではなく、今後どのような方向に進化させるかを調べる観測気球の役割を果たす『パイロットモデル』と見るべきだろう。

実は、初代iPhoneもそういう製品だったし、初代Apple Watchも200万円もする18金モデルを出したりと、話題作りを狙った製品だった。初代Apple Watchはファッション業界に強くアプローチしていたが、その後、ヘルスケアデバイスへとシフトしていったのはご存じの通り。Series 2~3で、Suica、GPS、光学式心拍センサー、50mまでの耐水性能、セルラー通信……などが搭載されて、今のApple Watchへの道筋を切り開いていった。

Apple Vision Pro
ライトシーリングや、ストラップステーなどを外すと、本体はこんな形状。内側も外側も撮影する13のカメラの他、数多くのセンサーを内蔵する(筆者撮影)

いわば、現在のVision Proは、初代iPhone~3G、初代Apple Watch~Series 2といった状態なのだ。しかし、これがあることで、visionOSを熟成し、デベロッパーにアプリケーションを作ってもらうことができる。熟成はどんどん進んでいるのだ。

アップルはリサーチに巨額の予算を使う。たどり着くべきゴールが分かっていて、今は『大量には売れないけれど、本来持つべき機能』を持ったデバイスを作っていると見るべきだろう。

筆者を含め、購入した人は快適に使っていると思うのだが、外に持って出るものでもないので、使用しているところを他の人が見る機会も少ない。また、使っていたとしても、外側からは体験の良さが理解できない。

だから、見たことも体験したこともない人は「高価だったから失敗した」と思い込むのも仕方がないかもしれない。

ソフトとしてもハードとしても前進

今回、アップルはM5チップを搭載して『依然としてApple Vision Proを全力で開発している』という意思表示をしているともいえる。

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