「完璧な俺の、何がダメだったんだ!?」。竹内涼真演じる《モラハラ男》が大バズり!ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が愛される真因
もうひとつの側面は、2人の再生のラブストーリーだ。
第2話では、プロポーズの1週間前に時間が巻き戻される。渚との出会いによって鮎美は、勝男の価値観にがんじがらめに縛られる生活の窮屈さや違和感をはっきりと認識するようになる。
同時に学生時代の自分がいかに視野が狭かったかに気づき、世界が広がる。渚と一緒に、これまでの人生で失っていた楽しみを取り戻すかのように過ごすが、一方で勝男との2人の時間がときおり脳裏によみがえり、孤独感に襲われる。

サプライズでプロポーズされた日は2人の記念日であり、鮎美は勝男のために特別な筑前煮を作っていた。しかし、突然呼び出されたレストランで、結婚を断り、それまで過ごしてきた何年もの時間の一切を断ち切った。
そのはずだったが、その日が鮎美にとって唐突に訪れたぶん、心のどこかで、勝男との楽しく、幸せを感じていた時間の記憶と、彼への思いがまだわずかに残っている。
そして、鮎美に新たな出会いが訪れるなか、鮎美は勝男が変わろうとしていることを知る。この先、勝男との再生の道はありえるのか。視聴者の気持ちも、鮎美と一緒に放送回を経て揺れ動きそうだ。
視聴者が勝男を愛し、応援してしまう理由
これまでにも、時代に取り残された古い価値観や思考を持つ主人公をアップデートさせていくドラマはあった。
なかでも、原田泰造演じる昭和のお父さんが令和社会に適応していく姿が人気を得た2024年1月期『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(フジテレビ/東海テレビ)は、本作と近い。
この系譜のドラマに共通するのは、古い価値観に凝り固まり、家族や周囲の人に迷惑をかけ、煙たがられる主人公が、いつしか彼らの言葉や行動からの気づきを得て、自らの固定観念を打ち破りながら新しいものを受け入れて変わっていく姿に、心温まるカタルシスが生まれること。生き方そのものの成長物語なのだ。
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