ベトナム人の対中感情が「警戒すべき存在」から「かっこいい」へと徐々に変質、その要因となっている意外なものとは?

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ベトナムでは、対米貿易摩擦が起きる中、市民の間で中国への態度に変化が起きている。写真はベトナム最高指導者のトー・ラム共産党書記長(右)と中国の習近平国家主席。4月14日、ハノイで代表撮影(2025年 ロイター)

ベトナムの首都ハノイで9月に開かれた大規模な軍事パレードでは、ベトナム人の若い女性数十人が「かっこいい」部隊の行進を一目見ようと何時間も列に並んだ。だが、お目当てはベトナム軍ではなく中国軍の部隊だった。

この光景は、対米貿易摩擦が起きる中、ベトナム市民の間で中国への態度に変化が起きていることを示している。市民感情の変化を受けて、ベトナム政府は中国に近い地域で高速鉄道建設や経済特区の設立など、センシティブなプロジェクトを推進できるようになった。こうした取り組みによって両国の関係は一層強まりそうだ。

かつては警戒心を抱く人が多かった

ベトナムではわずか数年前まで、過去に何度も戦争となった強大な隣国・中国に対して警戒心を抱く人が多く、こうしたプロジェクトは物議を醸し、激しい抗議行動が起きることもあった。

だがソーシャルメディアの投稿、オンライン検索、言語学習データなどを見ると、中国に対する見方が徐々に和らいでいることが読み取れる。

シンガポールのシンクタンク「ISEAS─ユソフ・イシャク研究所」が今年初めに実施した調査によると、ベトナム人回答者の約75%が中国よりも米国を好ましいパートナーと考えていたが、中国を好む割合の上昇幅は東南アジア諸国で最も大きく、地域全体の流れに逆行していた。

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