次に、飼育の難しさがある。野性が強く残っており、犬猫のようには飼いならせない。基本はケージ内で飼育だが、運動不足解消のための室内散歩、「部屋んぽ」が必要。しかしプレーリードッグにはかじり癖や掘る習性がある。あらゆる家具や壁、柱などが犠牲になることは覚悟しなければならない。賃貸物件ならば、原状回復費の負担は免れないだろう。
寒さに弱く、適温である20度~22度を下回ると体調を崩しやすくなるため、冬場はヒーター活用が必須。飼育下での平均寿命は7~8年だ。
・ケージ(縦60cm、横80cm、高さ60cm程度)
・床材(すのこ・牧草)
・隠れ家
・ベッド
・水入れ
・おもちゃ
・エサ(基本は牧草とペレット)
・冬場はヒーターなど

また、医療費も侮れない。海外から新しい血が入らないため、どうしても血統が近くなり、遺伝的な病気が出やすくなる。そうなれば動物病院に通う頻度も増えるだろう。
一方、診察できる動物病院は少ない。まる子さんもまずは信頼して相談できる獣医師を見つけようと、福岡中の動物病院に電話をかけたという。
「責任もって最後まで飼育ができるかと、半年くらい悩みました。そして、本当に信頼できる動物病院を見つけたことで、ようやく決心がついたんです」
「この世の終わり」顔の、誰かに似た“すみっこちゃん”
ーーもう男と暮らすのはコリゴリ。一緒に暮らすなら、ペットであっても絶対女の子がいい。
まる子さんは神戸のペットショップまで足を延ばした。売れ残っていたのは、幸運にも2匹とも女の子だった。好奇心旺盛な瞳でまる子さんに近づき、「触れ」アピールをする子の背後に隠れるように、「すみっこちゃん」と呼ばれる子がいた。
「ケージの隅に、まるで『この世の終わり』みたいな顔をしてじっとうずくまっている子がいたんです。『生きていても全然楽しくない』って顔で」
その子はいつでも隅っこから離れないんだと、店主が教えてくれた。お客さんが来ても、無理やり引っ張ってこないと前に出てこないのだという。店主の言うように、抱っこしようとすれば全力で拒否。体に触れることさえ拒絶した。
「この子にします」というと、「本当にいいの!?」と驚かれたが、まる子さんの心は変わらなかった。
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