つぶらな瞳とコロムチの体、コミカルな動きが魅力的だが、飼いならすのは簡単ではない。特にオスは縄張り意識が強く、攻撃性が高い。発情期には飼い主であっても噛みつかれることもある。トイレも覚えないうえに、臭腺から強烈なにおいの分泌物を出す。
人間だったら絶対にパートナーにしたくない。そんな動物に、10年以上愛を注ぎ続ける女性がいた。

追い詰められた10年前、アルゴリズムに導かれた出会い
福岡市在住のまる子さん(仮名)がプレーリードッグに出会ったのはおよそ10年前。何もかもうまくいかない時期だった。仕事に打ちのめされ、人間関係に傷つき、「もう人生を終わらせてしまおうか」とまで追い詰められていたという。
「当時は生きていけないくらいのつらい出来事があって、どうしても、何かに頼りたかったんです」
それでも毎朝まぶたをこじ開けて会社へ行き、足を引きずって暗い部屋へ帰る。唯一の安らぎは、YouTubeで大好きなリスの動画を見ることだけ。そんなある日、アルゴリズムの魔法によって、まる子さんは1本の動画に出会った。
「プレーリードッグが、入院していた飼い主さんと数カ月ぶりに再会する動画だったんです。飼い主をちゃんと覚えていて、『待ってたよ!』って抱き合って。なんて素敵な親子関係なんだ、私も絶対に飼いたいって思ったんです」
しかし、調べれば調べるほど、プレーリードッグ飼育のハードルが高いことがわかってきた。
まず、飼育に必要なものは5万円以内に収まるものの、とにかく生体価格が高い。日本では感染症防止のため、2003年以降プレーリードッグの輸入は禁止されている。国内繁殖された個体のみが流通しているため数が限られ、現在は生体価格だけで40万円程度するという。
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