「ここは人が住める状態じゃない」 「失明していた母」 10年ぶりに帰省すると、排泄物が腐敗し…実家はとんでもない"ゴミ屋敷"になっていた

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「終活を求めることは『死ぬ準備をしてください』と言っているようなものなので、非常に難しい問題です。ただ、亡くなった後に多額のお金がかかるという事実を知らない人が多いと思います。お葬式や家の処分費用も含めて、最低でも100万円ぐらいはかかると考えておいたほうがいいでしょう」

最低限、親がしておくべきこと

まず、親側が「死後にかかる費用」をきちんと把握することから始めるべきだと二見氏は言う。また、いざという時に子どもたちが困らないよう、情報の共有も不可欠だ。

ゴミ屋敷
モノがすべてなくなった1階の和室(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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リビングとキッチンも、床にダメージがあるものの何もなくなった(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「生命保険は何に入っているか、最低限共有しておくべきです。生命保険金には請求の時効があります。親族が死亡の事実を知ってから一定年数以内に手続きをしないと、保険金が支払われないケースがある。これは意外と知らない人が多いですし、知っていれば生前のうちに情報を共有しておくべきだと気づくでしょう」

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銀行口座も同様だ。通帳が見つからず、休眠口座となった預金が、親族に気づかれないままになっているケースは少なくない。

「片付けられない人であっても、保険証書、通帳、不動産の権利証といった重要な書類だけは、一カ所にまとめてわかりやすい所に置いておく。それだけでも、残された家族の負担は大きく減ります」

今回のケースのように、親が子どもとの接触を拒む場合、「そっとしておこう」と距離を置くことは、問題の先送りにしかならないのかもしれない。しかし、無理に関係を修復しようとしても、できないものはできない。

いつか訪れる「終わり」を見据え、最低限の情報を共有しておくこと。それが、こじれてしまった親子関係の中で、親が子に残せる最後の思いやりなのかもしれない。

ゴミ屋敷
すっかりきれいになった2階の洋室(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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モノやゴミであふれ返っていた2階の和室もすっかり元の状態に(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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