依頼主は、東北地方に住む50代の夫婦だった。夫の母親が1人で暮らす実家の片付けの依頼だ。
ことの発端は、母親が自宅で倒れたことだった。近所の人が発見し、病院へ救急搬送された。当初、夫婦は母親を自宅で介護しようと考えていた。ヘルパーを頼み、在宅での生活をサポートするつもりだった。しかし、現地へ向かう日が近づくにつれ、近所の人からこんな話を聞かされる。
「家がとんでもないゴミ屋敷になっている」
依頼主も、母親が昔から家を散らかしがちだと認識はしていた。過去にも、足の踏み場はあるものの、ゴミ屋敷のような状態になったことがある。しかし、今回の実態は想像をはるかに超えていた。

「元々は、『お母さんの部屋だけ片付けて、介護ベッドを置いて在宅介護すればいい。予算もかかるから、なるべく安く済ませたい』という考えで、『最悪、2階はそのままでもいい』という依頼内容でした」
電気、水道、ガス…ライフラインがすべて止まっていた
片付け作業の前日、東北地方からやってきた夫婦は実家の中へと足を踏み入れた。そして、その言葉を失う光景を目の当たりにする。
「しかし、いざ到着して家を見たら、『在宅介護なんて到底無理』な状況だったんです。もうとんでもないことになっていたので、『こんな所に住ませられない』となり、在宅介護の選択をその日にやめて、急遽、介護施設に入所させることに方針を転換し、家も売却することになったんです」
依頼主は「どうしよう、どうしよう」と、パニック状態に陥っていたという。二見氏はその場で不動産業者を紹介するなど、混乱する依頼主をサポートしながら、作業を進めていった。


無料会員登録はこちら
ログインはこちら