日本の牙城だったアニメやゲーム、コンテンツ産業。そこを席巻する中国企業。そんな熾烈な日中の戦いに、吸い寄せられるかのようにまた、大量に群がる中国人客。おそるべきチャイナパワーが今、この秋葉原には渦巻く。
日本で売れまくる中国スマホゲーム
こうしたアニメ、ゲーム業界における中国企業の勢いを、日本の業界のプロたちは一体どう見ているのか。
「(中国企業のミホヨのゲーム)『原神』が2020年に発売された時には、日本人のクリエーターたちも、みんなびっくりしていました。キャラクターの見た目、ビジュアルが良いのはもちろんですが、ゲームの中身もちゃんとオリジナリティー(独自性)があったのには、とても驚きました。アクションシーンも優れていて正直、中国メーカーに対し、かなりの危機感を覚えたことを思い出します」
日本の大手ゲームメーカーなどで15年以上、ゲームプランナーとして活躍してきたある40代の日本人男性は、「原神」から受けた当時の衝撃をこう語る。男性自身もかつては、中国のメーカーで働いた経験を持つ。日本の大手では年収800万円だったが、中国メーカーから提示された額は1500万円。2倍近い報酬はやはり魅力的だったという。さらに「ゲーム制作にあたっての海外での取材費用や交際費用なども、中国企業は惜しみなく出してくれました」。
こうした手法で「中国メーカーは、日本人のゲームクリエーターを数多く雇って制作し、ゲームの中身においても日本人声優を起用し、ストーリーまでも日本のゲームに似せて作るのは、もはや『当たり前の文化』でした。その上で、最後まで徹底して日本のゲームに似せることで完成度を高めるというのが、これまでの中国メーカーのやり方でした」と、男性は振り返る。中国メーカーの躍進にはこうした背景がある。だが、それでも男性は今の中国企業の台頭には驚きを隠せないという。
中国企業の躍進の裏には、日本企業にはない経営判断のスピードやリスクを取る大胆さ、それを裏付ける圧倒的な資金力があることも見逃せない。例えば、中国企業が繰り出すゲームは、前述の「原神」をはじめ、開発費が100億円規模に達するものが多いのが特徴である。当たれば大きいが、外れればリスクも当然大きい。
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