週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
ビジネス

串カツ田中「95億円の賭け」ピソラ買収の成算 創業者が10億円出しても株価急落を招いた"高値掴み"リスク

6分で読める
  • 大関 まなみ フードスタジアム編集長/外食ジャーナリスト
2/4 PAGES
3/4 PAGES

こうした串カツ田中が描く青写真は理解できる。しかし、実情は厳しい。今回、串カツ田中がピソラ買収に要した額はおおよそ95億円。直近2025年5月期のピソラの営業利益がおよそ2.4億円であることを考えると、かなり高額な買い物だ。

また、このピソラ買収の原資は増資と借り入れで調達している。一般的に増資は1株当たり利益の希薄化を、そして借入金の増加は自己資本比率の低下を招く。

おまけに、ピソラは全国的な知名度はまだまだであり、今回の買収でその名前を初めて知った人も多いようだ。ネット上には串カツ田中の個人株主から「得体の知れないイタリアンを高値掴みして財務悪化」といった否定的な意見が散見され、実際に発表翌日の株価は9%近く下落。株主の失望が表れた格好だ。

一方、串カツ田中も、会長で創業者でもある貫啓二氏が私財の約10億円を今回の増資に投じるなど“覚悟”を見せている。創業者が自腹で10億円出しても買いたかったピソラ。今回の買収における“本気”がうかがえる。

すかいらーくも似た業態を展開

ただもう一つの懸念として挙げられるのが競合の存在だ。ピソラには、競合も次々に登場している。

筆者はピソラを訪れてみて、すかいらーくの新業態「イタリアンリゾート ペルティカ」を思い出さずにいられなかった。店づくりが、あらゆる面で似ているように感じたのである。

2024年8月に小平市にオープンしたペルティカの1号店(筆者撮影)

ペルティカは「心も満たす2時間」を標榜するイタリアンレストランだ。「ファミレス」とは謳っていないものの、すかいらーくの業態だけあってファミレス感は否めない。

メニューの売りは、メインが選べるセット。パスタやピザ、リゾットから選べて、例によって豪華なドリンクバー付き。パンやサラダも付いて、ピソラと似たスタイルだ。ランチのセット単価はおおよそ1650~2200円ほど。

ペルティカ自慢の「インペリアルドリンクバー」。全長12メートルにわたり、フルーツジュースや紅茶、コーヒーなどがそろう(筆者撮影)

次ページが続きます:
【ペルティカの店内も「リゾート」がコンセプト】

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象