串カツ田中「95億円の賭け」ピソラ買収の成算 創業者が10億円出しても株価急落を招いた"高値掴み"リスク

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串カツ田中は今回のM&Aに際し、「脱・串カツ田中」を宣言した。

長らく串カツ田中をメインに展開してきた同社だが、いつまでも“串カツ一本足打法”を続けるには限界がある。世の中的なトレンドとしてアルコール需要の減少もあるし、コロナ禍のような居酒屋危機がもう起こらないとも限らない。

「串カツ田中」、なぜ「ピソラ」を買収?

また近年、串カツ田中は新しい業態を推進しているものの、どうにもうまくいっていない印象だ。沖縄を中心に飲食店を展開する、みたのクリエイトから2020年に展開権を獲得した「鳥玉」はあまり振るわず、結局みたのクリエイトが買い戻すことになってしまった。

最近では「焼肉くるとん」や「京都天ぷら 天のめし」「厚切りとんかつ 厚とん」といった新業態も打ち出しているが、まだまだ1~2店舗をゆっくり育てている段階で、大きく展開するには時間がかかりそう。

そこで、すでに約60店舗を擁するピソラを買収したというわけだ。その狙いの一つに同社は「事業ポートフォリオの多様化」を挙げている。夜にお酒を楽しむ居酒屋と、食事とドリンクバーを楽しむファミレス。異なるニーズの業態を同時に持つことで、会社全体のバランスを保ち、市場拡大の機会を増やしたいとのことだ。

「厚切りとんかつ 厚とん」外観
今年の3月にオープンした新業態「厚切りとんかつ 厚とん」は、単価3000円のとんかつ定食の店(筆者撮影)

串カツ田中では、ピソラを今後10年で300店舗体制にしたいという。グループ全体で1000店舗体制を目指していく意向だ。

串カツ田中ホールディングが運営するブランド一覧
串カツ田中ホールディングスが運営するブランド一覧(串カツ田中ホールディングスHPより)
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