増え続ける「転倒による労災」の理由は"現場作業員の高齢化"だけじゃない。従業員の疲労対策「待ったなし」の訳

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転倒する男性
転倒による労働災害は、この10年で1万人近く増えています(写真:metamorworks/PIXTA)
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一般社団法人日本リカバリー協会の調査によると、疲労による経済損失は年間15兆円。そして、日本人の約8割が疲れを抱えて生活しているといいます。
この状態に警鐘を鳴らすのは、書籍『休養学』の著者で同協会の代表理事である片野秀樹氏。
疲労は経済的な損失をもたらすだけでなく、重大事故を引き起こしてしまう可能性もある――。疲労が蔓延している現在の状況とその危険性について、片野氏の最新著書『疲労学』より一部を抜粋・編集してお届けします。

疲れている人は1年で30万人も増加

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ぶしつけですが、あなたは今、疲れていますか?

この質問は『休養学』の最初でもさせていただきましたが、おそらくそのときよりもっと多くの人が「すごく疲れている」と答えるはずです。

というのも、すごく疲れている人は年を追うごとに増えているからです。

私たち日本リカバリー協会は2017年から、就労者10万人を対象に疲労に関する調査をおこなっています。それによると、2020年以降は一貫して約8割の人が「疲れている」と回答しています。

 

図 疲労感の推移
出典:『疲労学』

最新の2025年調査では82.0%となり、過去最高を更新しました。この82.0%という割合を総務省統計局の人口推計(20〜79歳)をもとに換算すると7172万人となり、2024年の7143万人と比べ30万人も増えたことになります。

8割という数字はそれだけでも驚きですが、これが短い期間で2割も増えたと聞けばもっとびっくりされるのではないでしょうか。

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