増え続ける「転倒による労災」の理由は"現場作業員の高齢化"だけじゃない。従業員の疲労対策「待ったなし」の訳

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1999年に厚生労働省(旧厚生省)の疲労調査研究班が60代までの就労者を対象におこなった調査では、当時約6割近くが疲れていると答えていましたから、わずか20年強で2割も増えたことになります。

しかも、日本リカバリー協会の2025年調査では、「高頻度に疲れている人」が前年の44.2%からさらに増えて46.3%となりました。

これはつまり、すごく疲れている人の割合が増えてきていることにほかなりません。

転倒による労災が増えている

人間、疲れているとミスも起きやすくなります。

仕事中や通勤途中で起きた事故によってケガをしたりすることを労働災害(労災)といいますが、中央労働災害防止協会(中災防)によると、今いちばん課題となっているのは「転倒による労災」だといいます。

転んで2階から落ちてしまう、階段を踏み外してケガをしてしまうといったケースが増えてきているというのです。

厚労省の統計で見ても、2014年には2万7000人だった転倒災害が、最近では3万6000人を超え、この10年で1万人近く増えています。

転倒による労災の増加
出典:『疲労学』

日本では、人手不足などによって高齢になってからも働き続ける人が増えています。中災防の皆さんは、そうしたシニア世代の疲れが背景にあるのではないかと見て、休養学に関心を寄せてくださっています。

ただ、問題はシニアに限られないように思えます。疲れていると、誰でも転びやすくなります。

疲れると筋肉の活動能力が落ちるうえ、空間認知能力といわれる脳の働きも鈍ってきます。足を上げたつもりが上がっていない、ものについぶつかってしまう……。

そういったズレがもとで、つまずいたりよろけたりしてしまうのです。こういった転倒は年齢に関係ありません。

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