「精神主義は現実に機能しない?」高市早苗氏≪馬車馬宣言≫に対するビジネス界の教訓

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三原じゅん子こども政策担当相は、高市氏の発言への受け止めを聞かれた10月7日の閣議後記者会見で、「ワークライフバランスは極めて重要だと考える。その推進に、今後ともしっかり努めたい」と述べた。

発言は「総裁としての決意を述べられたのかなと思う」と断ったうえで、「特に仕事と子育てを両立させる人生設計を望む若者が増加している」と指摘した。

ビジネス界でも、経営者が従業員に対してはっぱをかけることはよくあるが、批判を受けることがある。2013年6月に週刊文春が当時、自民党公認で参院選に出馬する予定の渡辺美樹・ワタミ会長が、「365日24時間死ぬまで働け」、「できないと言わない」などと社員に呼びかけていることがワタミの社内冊子からわかったと報じた。

ワタミでは2008年に入社3カ月の女性社員が1カ月141時間の時間外労働で抑うつ症状となり、飛び降り自殺し、2012年2月に過労による自殺として労災認定されていた。

精神論でどうにかなるものでもない

実際に、精神論一辺倒では生産性を向上させられないという指摘がある。すでに故人だが、ユニークな経営として知られる山田昭男氏が創業した岐阜の未来工業(株)が注目を浴び、メディアで盛んに取り上げられたことがある。

年間休日140日、「報・連・相(ほうれんそう)」禁止、ノルマ、残業なしのユニークな経営で有名になった電気のスイッチボックスや電線管などの電設資材メーカーだ。

同社の社是は「常に考える」だ。上からの指示ではなく、会社全員で常に考えて仕事の改善・工夫をするという方針で、山田氏は生前「人間は仕事のために生きているのではなく、生きるために仕事をしている。世の中ではワークライフバランスと言い、ワークが先に来ているが、わが社はライフワークバランスだ」と述べていた。

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