「精神主義は現実に機能しない?」高市早苗氏≪馬車馬宣言≫に対するビジネス界の教訓

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高市氏であれ、誰であれ、指導者・権力者も生身の人間であり、まったく休暇を取らずに持続的によい仕事ができるわけがない。

一方、高市氏の発言を擁護する声も大きい。発言の揚げ足取りだとする意見や、高禄を食む政治家が裏金作りや、政治活動として高級料理を頻繁に食するようなことばかりしていて国民のための仕事をしていないのだから、高市氏の発言を評価するといった意見だ。

事実、自民党議員の裏金作りが現在の自民党不人気の大きな要因であるし、政治に金がかかると言いながら政治活動として頻繁に高級料亭等で食事をする議員が批判されている。

高市氏自身は勉強家で政策通であることが知られている。自民党を中心に二世議員、三世議員が多いことが批判を受けるなかで、高市氏は政治家の家の生まれではなく、松下政経塾出身議員だ。

意気込みは評価できるが…

高市氏の意気込みは評価できるし、政治家にはしっかり国民のために働いてほしいと思う国民は多いだろう。しかし、政治家一個人としての発言ではなく、公党党首、さらには首相ともなれば、その言葉の重みや影響が格段に違うことを高市氏は理解する必要があったように思う。

本件も、総理(首相)としての発言ではなく、自民党総裁としての同僚議員への叱咤激励、自らの姿勢表明ではある。しかし、自民党議員には秘書等の従業員(労働者)が周りにはいるし、当然、自民党の事務局にも職員はたくさんいるだろう。また、政策実現のためには各省の官僚への指示や資料提出依頼も行われる。

そのように考えると自民党新総裁の「馬車馬のように働いていただく、私もワークライフバランスという言葉は捨てる」という発言の影響は自民党内にとどまらず広がっていく。

特に、重要な政策となっている「ワークライフバランス」という言葉を用いて、それを捨てるという発言はやはりまずかったというのが筆者の意見だ。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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