総合型選抜入試では、ペーパーテストの点数だけでなく、志望理由書・面接・小論文・グループディスカッションなど、さまざまな要素を総合的に評価します。
そのため、単なる学力だけでなく、課外活動・探究活動・プレゼン力・対話力・リーダーシップといった力も求められます。
言い換えれば、テストで高得点を取る力よりも、社会の中で活躍できる人間的な能力を評価する方向に入試がシフトしているのです。
一方で、「それなら勉強はそこそこでもいいのでは?」という声も出始めています。
「課外活動や部活動に力を入れた方が有利になる」「学校の勉強よりもボランティアや探究をやった方が評価される」──そんな考え方を持つ高校生や保護者も増えています。
総合型で合格するのは“両立型”の生徒たち
しかし、実際に総合型選抜で難関大学に合格している学生を取材すると、意外な共通点が見えてきます。
それは、「勉強が苦手なタイプ」ではなく、学力も高く、人間性や行動力も兼ね備えた生徒が多いということです。
総合型選抜は「勉強ができない人の逃げ道」ではなく、「勉強+非認知能力の両立ができる人」が評価される入試なのです。
では、なぜ総合型で合格する人たちは、学力も高いのでしょうか。理由は大きく2つあります。
まず1つ目は、総合型選抜で重視される「評定(内申点)」が、学校の定期試験の点数で決まるという点です。
学校の試験で点が取れなければ評定は下がり、評定が下がれば総合型選抜の評価にも直結します。
つまり、勉強をおろそかにしては、そもそも出願条件を満たすことができません。
「総合型=学力不要」というのは、実は大きな誤解なのです。
2つ目の理由、こちらの方が自分が今回伝えたいことの本質なのですが、私たちが思っている以上に、学力(認知能力)と人間力(非認知能力)には強い相関関係がある可能性が高い、という話です。
認知能力と非認知能力という言葉があります。認知能力は、テストで測ることができる力、要するに学力のことを指します。一方で非認知能力は、テストで測ることが難しい力で、コミュニケーション能力や忍耐力といった今まで「人間力」と呼ばれていた能力になります。
そして、この非認知能力の研究の第一人者である元岡山大学准教授の中山芳一先生はこう述べています。
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