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「もう100円セールはやらない!」 フードグループ15億円赤字で大ピンチ、ミスタードーナツが復活を果たした"きっかけ"とは?

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「ほかに客を奪われたのではなく、私たち自身で価値を下げる結果となってしまいました」、ーーこの言葉は重い。

手づくりの技術、厳選された素材、50年の歴史ーー。本来は高い価値を持つこれらの要素が、100円セールによって「安売り商品」のイメージに取って代わってしまった。そのため、ブランドの独自性が失われ、顧客離れが加速していったのだ。

そこに追い打ちをかけたのが、立地戦略の失敗だ。駅前再開発などで生活動線が変化するなか、「客がいるところに出店できていない」状況が続いていた。創業から積み上げてきた立地という資産が、時代の変化についていけずに重荷になっていたのだ。

1店舗あたりの売り上げは減少し続け、これに伴って店舗統廃合を余儀なくされた。店舗数減少がさらなる売り上げ低下を招く、負のスパイラルに陥った。

店舗数は、2015年の1317店から、2016年には1271、2017年には1160、2018年は1086店。2020年にはついに1000店を割って、977店まで激減した。

安売り戦略と出店戦略の失敗で店舗数は急減。だが、2021年を底に再び増加に転じている(画像:ダスキン提供データより引用し筆者作成)
【注】拠点数は同社運営の拠点、子会社が運営する拠点およびフランチャイズ加盟店が運営する拠点の合計で積極店舗数で掲載(海外拠点数は、一部休店店舗数が含まれる。海外拠点数は12月末現在)。拠点数には直営店の事業を兼業する店舗があるため、全事業拠点数の合計は実際の店舗数とは異なる

「いいことあるぞ」なミスタードーナツへ

「このままでは、FC加盟店の信頼を裏切ってしまう」

2016年、経営陣は覚悟を決めた。100円セールの完全廃止だ。単なる価格政策の変更ではない。長い歴史を持つ老舗ブランドが自らの価値を見つめ直し、再定義する決断だった。

「もう決して100円でドーナツを売らない。ドーナツの商品価値を強化していこう」

目指したのは、「ちょっと懐かしいミスタードーナツ」から、「ワクワクする気持ち」や「居心地のいい空間」を変わらず提供しながらも、商品やサービスを通じて、客にたくさんの“いいこと”を感じてもらえるブランドへの進化だ。

言うは易しだが、実現は簡単ではない。商品、店舗、広告、社員の意識、そのすべてを変える必要があった。そうして2016年、「いいことあるぞ ミスタードーナツ」を新スローガンに、3つの改革がスタートする。

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