ホンハイ・郭会長の“聖戦”、シャープ提携で「iTV」受注に全力、狙うはサムスン封じ
台・日企業間で最大規模の提携となった、ホンハイのシャープへの資本参加。郭会長はさらに、シャープ子会社で大阪・堺市にある第10世代パネル工場を運営するシャープディスプレイプロダクトに個人名義で出資し、47%の株式獲得も決めた。
世界で唯一の第10世代ラインは、60インチの液晶テレビ向けパネルであれば一度に6枚、57インチのものであれば8枚、42インチであれば15枚を切り出すことができる。大型サイズの液晶テレビ向けパネルの生産で、高いコスト競争力を持つことができる。
この2年間、需要低迷で巨額の赤字に苦しんだが、iTVは初期に大型サイズの設計を採用するとみられており、シャープの第10世代工場はiTV向けパネルの格好の生産拠点となりそうだ。
つまり、シャープへの投資はiTV受注合戦の中で、ホンハイとしてなくてはならない決定だった。アップルは今、サムスン電子・LGディスプレイの韓国勢から、液晶パネル受注比率を引き下げようとしている。こうした中、最もコストの高い液晶パネルにおいて、今回の提携を通じてシャープがアップルの最大のサプライヤーになる可能性が出てきたのだ。それが実現すれば、ホンハイはアップルとの関係をこれまで以上に緊密化させることができる。
テレビ革命という新たな戦場で、アップルのiTVで受注獲得することは、ホンハイにとってアップル製品の主要パーツを握るだけではなく、同時に最大のライバル、サムスン電子を封じ込めることなのだ。
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(『今周刊』No.798/ライ 筱凡記者 =週刊東洋経済2012年4月28日・5月5日合併特大号)
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