ホンハイ・郭会長の“聖戦”、シャープ提携で「iTV」受注に全力、狙うはサムスン封じ
EMS(電子機器受託生産サービス)大手の鴻海精密工業(ホンハイ)の郭台銘会長は3月、473億台湾ドル(約1300億円)を日本のシャープに投じることを決定した。この提携は、今後5年間のホンハイグループの成長の成否を握るものであり、アップルの次の戦略商品と位置づけられるスマートテレビ「iTV」を受注できるかどうかのカギとなっている。
アップルの創始者、故スティーブ・ジョブズ氏は、すべてのモバイル装置とi−クラウドを結び付けた非常に使いやすいテレビとしてiTVを開発。年内にも販売される予定だ。このiTVの新市場がそうとう巨大になることは間違いないだろうが、ホンハイがアップル製品の受託生産で、唯一受注していないのが、そのiTVなのだ。
郭会長がiTVに注目する理由は明確だ。これからのテレビ市場でiTVが11%のシェアを獲得すると仮定すると、ホンハイは1台当たりの組み立てで900米ドルを獲得することになり、来年のホンハイの営業収入は15・8%の増加となる。彼の胸に秘めた構想が、今回のシャープとの提携で現実に向かい始めた。
グループ戦略修正しシャープと提携へ
ホンハイとシャープの交渉は、2006年に始まる。ホンハイ傘下の中国の深超光電、中国のテレビブランドTCL、シャープの3社が、中国に合弁で液晶パネル工場を開設することで交渉を進めた。当時は液晶パネルの受注がテレビ向けに好調で、シャープ側が高姿勢を見せるなど、交渉は進みにくかった。