飛行機「乗り放題」は航空ビジネスを変える 飛行機やパイロットも所有せず

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「彼らは航空機を所有せず、パイロットも雇用せず、メンテナンスもしなければ、航空運航免許も持たない」と、航空業界アナリストでコンサルタントのロバート・マンは言う。そのため、こうした新興企業は航空会社ではなく、マーケティングプラットフォームと位置付けられるとマンは指摘する。

乗り放題会社は代わりに、航空会社と契約を結んでいる。ライズの提携企業のひとつであるメナジャリー・エンタープライズは、モナーク・エアというテキサス州アディソンのチャーター機運航会社を運営している。ライズは他にも、同州ヒューストンの航空機管理サービス会社ガルフコースト・アビエーションとも提携している。

ビーコンは、民間旅客機のサプライヤーであるバージニア州のダイナミック・アビエーションと提携し、6人乗りのビーチクラフト・キングエア200を使用している。

これらの企業の飛行計画は、連邦航空局(FAA)がコミューター(短距離路線の小型飛行機)に認可している週5回以上の往復飛行という規定に則っている。

乗客が重視するのは、何よりも時間とおカネの節約だ。ボストンにあるモバイルロイヤリティプログラム会社の上級副社長であるポール・クラシンスキーは、月に2~3回ニューヨークに出張する。以前はUSエアウェイズ・シャトルを利用し、片道90分のフライトに450~475ドル支払っていた。ラガーディア空港は旅客機の乗客には出発2時間前までのチェックインを求めている。

それが現在では、ビーコンを利用するようになって出発15分前に空港に到着すればよいため、片道1時間は節約できているという。月に3回往復すれば元は取れ、さらに子供に本を読んであげられる時間に帰宅できるようになった。

持続可能性と安全性に疑問も

乗り放題のビジネスは拡大しているが、長期的な成長を疑問視する専門家もいる。「現在の形態では持続可能なビジネスモデルとはいえないのではないか」と、コンサルティング会社ストラテジーアンド(元ブーズ・アンド・カンパニー)のシニアディレクター、エドワード・クレイトンは言う。会員が増えればすぐにキャパシティの問題に直面するだろうと、彼は指摘する。

ライバルが邪魔に入るのは時間の問題だと指摘する専門家もいる。カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールのクレイトン・クリッチャー准教授は「大手の航空会社が対抗して市場に参入するだろう」と言う。

安全性について疑問視する声も上がっている。航空業界アナリストのマンもそのひとりだ。「先が予測できない。適切な調査を実施する機会もそれほどない」

各社の幹部は、運行する航空機はFAAの規定を順守しており、リスクを最小限にするため最大の努力をすると主張している。ライズとビーコンは、使用する航空機のサイズでは義務付けられてはいないものの、コックピットに2人のパイロットを搭乗させている。

ライズが提携する航空会社は、コンサルティング会社アーガス・インターナショナルによって評価・格付けされており、モナーク・エアはゴールドを、ガルフコースト・アビエーションはプラチナを取得している。

ライズのCEOのケネディは、連邦規定をすべて満たすべく重層的なセキュリティー対策をとっていると言う。同社では、乗員数12人以下の航空機には義務付けられていない乗客の身元確認も実施している。ビーコンも乗客の身元確認を行っており、「航空機を所有する企業とまったく同じセキュリティー対策だ」と、CEOのアイアリーは言う。

カオティック・ムーン・スタジオのCEOのラムは、ライズの会員サービスに満足していると語った。「時間に遅れたことは一度もない。信頼性は、時間の節約と同じくらい大切だ」

(執筆:AMY ZIPKIN記者、翻訳:前田雅子)

© 2015 New York Times News Service

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