「家に帰ってきたら中に人が…」 育てた野菜をくれる"いい管理人さん"がマスターキーで下着物色 被害女性が弁護士をつけず自力で提訴した理由

信用していたマンションの管理人が、マスターキーで部屋へ上がり込み、下着を物色していた。マンションの全室に入れる「マスターキー」を悪用した事件が2024年6月、鹿児島市内で起きた。管理人は住居侵入罪で逮捕、起訴され、有罪判決を受けた。
マンションを管理する不動産会社は、約9カ月にわたり事件を住民に知らせなかった。被害にあった杉原里香さん(仮名)は「鍵を悪用する事件が再び起きてほしくない」と、不動産会社と管理人を訴える損害賠償請求訴訟を起こした。いったいどんな事件だったのか。
帰宅したら家に管理人が…下着は散乱
杉原さんは夫と2人暮らし。夫の鹿児島赴任に同行し、2022年秋から鹿児島市内のマンションで生活していた。
2024年6月1日。杉原さんは午前8時ごろ、夫と朝食の材料を買いに、近所のスーパーへ出かけた。この日は土曜日で、解放された気分だったのを覚えている。戻ってきたのは約1時間後のことだ。
杉原さんが、こう説明する。
「エレベーターで7階に上がり、ドアを開けようとしたら鍵がかかっていなかったんです。『あれ? 鍵かけ忘れたっけ?』と言いながらドアを開けたら、2メートルぐらい先のリビングに人がいたんです」
リビングにいた「人」は、マンションの管理人だった。
管理人は杉原さんを見た瞬間、「水漏れだ、水漏れだ」と言いながら、部屋を飛び出して行った。
わけがわからないまま部屋に入った杉原さんは、信じがたい光景を目にする。
「押し入れのクリアケースの近くに私の下着が散らばっていたんです。『うわっ』と声が出ました」
仕事をしている杉原さんは、数組の下着を小さなバッグに入れて出張に行っていた。そのバッグの中の下着が荒らされていたのだ。
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