「家に帰ってきたら中に人が…」 育てた野菜をくれる"いい管理人さん"がマスターキーで下着物色 被害女性が弁護士をつけず自力で提訴した理由

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法律にも疑問が残った。

「他人に部屋に入られて下着を触られたのに、なぜ住居侵入罪だけなのでしょうか。警察官から『下着を盗んでいなければ、窃盗罪にはなりません。1枚でもポケットに入っていればよかったのですが』という趣旨のことを言われ、変な法律だなと。私にとってはわいせつ行為なのに」

夫は「有罪判決も出たし、事件のことは忘れて日常に戻ろう」と言った。だが、このままではマスターキーの悪用事件は、ほとんど誰も知らないまま終わってしまう。「泣き寝入りしたくない」と、知人の紹介で弁護士に相談した。

鹿児島県警捜査官
(写真:被害者提供)

杉原さんは、入居者に事件が知らされない不信感や、住居侵入罪のみの立件の疑問などを訴えた。しかし、法律の専門家である弁護士の反応は芳しくなかった。

「話はよく聞いてくれました。でも『裁判とはこういうものですから』と。『民事裁判を起こすことは止めません。ただ、個人の見解ですけれど、30万ぐらいしかとれないと思います。弁護士費用などでトントンか赤字ですよ』と。そこで話は終わりました」

桜島
引っ越し後に癒やされた桜島(写真:被害者提供)

女性弁護士なら、気持ちを理解してもらえるかもしれない。そう思った杉原さんは、女性弁護士による女性のための法律相談に行った。

話を聞いた弁護士は「法律とはそういうものですよ」と言った。「女性の方だったら寄り添ってくださると思ったのですが……」。そう漏らした杉原さんに「女性も男性も関係ありません」と話したという。

「法律とはそういうものなのかもしれません。ただ、共感してくれるかもと期待しただけに、がっかりしました」

本人訴訟に踏み切り、自力で戦う

杉原さんは、弁護士をつけずに当事者が提訴する「本人訴訟」に踏み切る。友人が「訴状って自分で書けるんだよ」と教えてくれたからだ。

自分たちで作った準備書面
自分たちで作った準備書面(写真:被害者提供)

本人訴訟は、弁護士費用を抑えられるメリットがある一方、訴状など書類を自分でそろえ、裁判を進めなければならない。幸い、法律関係の仕事をする知人がサポートしてくれた。

次ページ当該マンションを管理する不動産会社へ取材
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