「家に帰ってきたら中に人が…」 育てた野菜をくれる"いい管理人さん"がマスターキーで下着物色 被害女性が弁護士をつけず自力で提訴した理由
本当に水漏れは起きているのか。杉原さんが外に出て確認しようと部屋のドアを開けると管理人と鉢合わせした。「水漏れがあったのか確認したい」と伝えた杉原さんに、管理人は「行きましょう」と、自宅の1つ上のフロアの8階に上がった。
「上の部屋は水があふれだして大騒ぎになっているかと思ったら、共用廊下に水がある程度でした。あれっ?っとびっくりしたんです」

杉原さんは警察に110番通報、すぐに警察官が臨場し捜査を始めた。管理人は、住居侵入罪で逮捕、起訴された。警察の調べに対し、マスターキーで部屋に入ったことを認め、バケツで水をまいて水漏れがあったように装ったと供述した。
育てた野菜をくれる「優しいおじいちゃん」
逮捕された管理人の男性は、「優しいおじいちゃん」だった。杉原さんが住むマンションを管理する不動産会社に長く勤め、設備の知識が豊富だった。部屋の電気系統に問題があったときは、工具を持って駆けつけ、すぐに直してくれたほどだ。マンションのほかの住人からも頼られていたという。
「いつも掃除をしていて、住人とよく立ち話をしていました。畑で作った野菜をもらったこともありました」
「いい管理人さん」と思っていただけに、ショックは大きかった。警察の勧めもあり、事件から1週間後に引っ越した。転居しても出かけるときは鍵を閉めたか何度も確認し、帰ったときはドアを開けるのが怖かった。

管理人は2024年8月、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。勤めていた不動産会社は依願退職した。
だが、杉原さんはいろいろと納得がいかなかった。1つはマンションの住人に事件が全く知らされなかったことだ。知人が不動産会社に「入居者には事件を報告する責任があるのではないか」と問い合わせたが、「個人情報のため、知らせる予定はありません」という回答だった。
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