女性は1人ではトイレに行ってはいけない…「防災のプロ」が明かす、避難所生活の"語られない"暗部
この場合に大事なのは、「丈夫なリュックを使う」ということです。私は昔、娘のリュックを使って、水を運ぶ実験をしたことがあります。ポリ袋に20lぐらいの水を入れて、娘の子ども用リュックで運ぼうとしたところ、ビリッと破れてしまいました。丈夫な登山用リュックが一番だと実感しました。
かりに20lぐらいの水を運んできたとして、それを入れられるような大きな容器のある家はなかなかないでしょう。ポリ袋をそのまま置いて、口をほどくと、水は全部あふれてしまいます。ポリ袋から水があふれないようにするためには、「水瓶」が必要です。
バケツや段ボール箱に入れた水袋は、そのまま自宅の水瓶になります。おそらく、バケツよりも段ボール箱のほうが、容量が大きいでしょう。段ボールの蓋を内側に折り曲げれば、強度が上がります。
その水瓶から、計量カップやボウルなどを使って、必要に応じて移し替えて、水を使ってください。これも、私たちがいろいろ試した中で生まれた「あの手この手」の工夫です。
意外と知らない「避難所生活の実態」は
自宅で避難生活を送るのがベストだと繰り返してきましたが、どうしても避難所しか選択肢のないケースはあります。
着の身着のままで行くしかなくなることも十分に考えられますが、もともと避難所に行くことを前提にしている方は、持っていく物をまとめて「持ち出し袋」に入れ、玄関に置いておくといいでしょう。
持ち出し袋は、防水で、両手の空くリュックがおすすめです。避難所に持っていくといい物は、携帯トイレやスマホのバッテリーといった基本的な防災グッズと、約3日分の水や食料です。その他に、耳栓やアイマスクなどもあると助かるでしょう。
避難所生活は楽ではありません。まず、発災直後から食事が提供されることは期待しないほうがいいでしょう。提供されても、炭水化物の多い食事のせいで便秘になってしまった人もいます。
避難所によっては、物事がスムーズに進まなかったり、情報の伝達がうまくいかなかったりすることもあります。寝ているときに、他の人の咳やいびきに悩まされることもあります。トイレからひどい臭いが漂ってくることもあります。不眠にもなりやすくなります。
そういう生活がしばらく続くと、被災者同士でトラブルが起こることは珍しくありません。非常時には、人が変わるものです。
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