女性は1人ではトイレに行ってはいけない…「防災のプロ」が明かす、避難所生活の"語られない"暗部
国は要配慮者のためにホテル・旅館を「福祉避難所」として開設するようにすすめていますが、かりに福祉避難所ができたとしても、被災地にあって要配慮者が福祉避難所まで移動するのはとても困難です。なるべく要配慮者がいつもと変わらない生活ができるように、自宅で備えておくほうがずっといいと私は思っています。
水の「調達」と「保存方法」を知っておく
さて、水道の復旧は最後ですから、ここで改めて在宅避難生活における水問題を考えておきましょう。
トイレを流せるようになるまでには時間がかかります。特にマンションの下層階の家は、トイレの逆流を想定しておいてください。
上層階の人が知らずに流し続けていると、下層階のトイレで下水が逆流して便器から汚物があふれてきます。便器から空気がポコポコ出てきたり、水が跳ね上がり出したりしたら、逆流は近いと思ってください。
予防するには、二重にした45lのポリ袋の中に水を入れて口を縛り、それで便器をふさぎます。これは「水嚢」と呼ばれます。実際に逆流してきたときも、水嚢で応急処置してください。
ただ、そうなる前に、マンションの中で情報を共有して対策しておくことが最善です。もし、話し合われていなければ、次の総会で提案してはいかがでしょう。
断水になると、1〜3カ月、あるいは半年も続くことを覚悟しなくてはいけません。能登半島地震では、1年たっても水道は復旧しませんでした。生活用水は節約するにしても、水分はしっかり飲まなければ健康に影響が出ます。
断水との戦いは長期戦ですから、備蓄していた水が足りなくなるかもしれません。飲み水の調達と保存の方法を知っておきましょう。
給水車や給水拠点から自分たちで水を運ぶには、キャンプなどで使われる「ウォータータンク」があるのがベストです。ですが、なくても問題ありません。バケツや段ボール箱に大きなポリ袋を入れれば、清潔な容器になります。
そこに水を汲んで、台車やキャリーカートに乗せれば、重い水も楽に運べます。階段を上がるときには、丈夫なリュックに水の入ったポリ袋を入れるといいでしょう。
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