背景には「艦これ」の存在があった? バス会社運営「地方私鉄」のレストラン列車、自衛隊との"異色コラボ"の訳
たった30席(※2025年9月現在、上限24席で運行)のレストラン列車のコンセプトは「『海の京都』の走るダイニングルーム」。工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が手がけたという車内は、天橋立の白砂・松をイメージしたデザイン・仕掛けが随所に施され、乗車時間のあいだに車内を探索するだけでも楽しい。
天然木の香りに包まれた車内で癒されているうちに、「くろまつ号」は16時5分に天橋立駅を出発。リアス式海岸の奥にある宮津湾の静かな海を眺めつつ、ターミナル駅・宮津駅の先で半島の付け根の山を越え、坂を駆け上って……平地を走っていたはずの列車は、いつしか小高い山の中腹に駆け上がる。いわば「くろまつ号」はさながら、透明の海を見渡す「走る展望台」だ。
列車はしばらく走ったところで、粟田湾を一望できる「奈具海岸」の高台に15分ほど停車。この景色とともに、既にスタンバイ完了している護衛艦「みょうこう」カレーをいただこう。
「丹後くろまつ号」なら「金曜日でなくても海自カレー!」

陸(おか)を離れて、長期の航海に出る海上自衛隊では、曜日の感覚を保つために「毎週金曜日にカレーを食べる」という伝統があるという。
自衛隊の拠点・舞鶴市では、海上自衛隊の乗組員からレシピを教わったカレーを提供する店舗が20店近くある。なかでも護衛艦「みょうこう」のカレーは、牛ロースを何時間も煮込んで丁寧にアクを取ったブイヨンがベースとのこと。「みょうこう」艦内のカレーコンテストで勝ち抜いた逸品だという。
ちょっとだけスパイスが利いてお肉はゴロゴロ、玉ねぎの甘さとブイヨンのコクがギュッと詰まった濃厚なカレーは、ひと口食べるごとに全身の感覚が研ぎ澄まされるような、不思議な美味しさだ。

付け合わせは「舞鶴市神崎産のらっきょ」「舞鶴発祥・肉じゃがのコロッケ」「舞鶴蒲鉾のサラダ」「ムースフロマージュ ~舞鶴茶の田辺城仕立て~」。奈具海岸でたっぷり景色を堪能したあと、列車でゆっくり舞鶴に近づきながら、”舞鶴づくし”メニューを食べ進めていくのもよいだろう。

京都丹後鉄道を運行するWILLER TRAINS株式会社・飯島徹社長が車内にいらっしゃったので、聞いてみた。「なぜ、海上自衛隊とのコラボが実現したのか?」。
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