《ミドルのための実践的戦略思考》W・チャン・キム、レネ・モボルニュの『ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』で読み解く 工具メーカーのマーケティング担当・清水の悩み

もう一つは、「再現性を意識した戦略論である」ということです。つまり、ものの切り方や断片的な考え方を提示するのではなく、「ゼロから新たな戦略を考える際の一連の流れ・プロセス」にパッケージ化されたコンセプトであるということです。これによって、読者は「自分もひょっとしたらこのプロセスに沿って考えれば出来るかも知れない」という期待を抱くことが出来ました。

3点目は、「主要なフレームワークの圧倒的な分かりやすさ」です。前掲の6つの原則の一覧表にも記載した通り、実はブルー・オーシャンには相当な数のフレームワークが提示されているのですが、一般的にブルー・オーシャンといえばこれ、というフレームワークがあります。それは第2原則にある「戦略キャンバス」(下図参照)というものです。これを描くことにより、既存の市場との差異をビジュアルで分かりやすく示すことが可能になります。このフレームワークの分かりやすさが、世の中に広く浸透したもう1つの大きな要因だと考えられます。


『ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』より引用

更にもう1つ加えるならば、それは「実行に移す」ということまで視野にいれたコンセプトであるということです。つまり、多くのコンセプトは「戦略の考え方」に留まることが多いのですが、このコンセプトは第5、第6原則を見れば分かる通り、「まったく新しい戦略は現場がそう簡単には動かない。そのために、どう動かすかも含めて設計に入れるべきだ」という前提に立っています。ここまで考慮に入れている戦略論は極めて稀有であり、このコンセプトを特徴付ける要素になっています。(しかしながら、戦略キャンバスが有名すぎるために、このことは実は一般的にはあまり知られていないことでもあります)。


■解説:清水さんはどうすべきか?

さて、では清水さんはブルー・オーシャンのコンセプトを活用すると、この状況をどう打破できるでしょうか?

まず、今のミーティングでの議論は、すべて「レッド・オーシャン」の中の戦い方、つまり既存の電動工具市場の中でどう優位性を築くか、ということに意識が集中しているようです。

では、ブルー・オーシャンを描くにあたり、まずは第1原則である「市場の境界を引き直す」、つまり市場の常識を疑ってみましょう。ここでは、そのためのツールである「6つのパス」のうちの1つのパスである「買い手グループに目を向ける」というアプローチから考えてみたいと思います。

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