回転寿司チェーンはなぜ、うどん・ラーメンにこだわるのか?「こだわり讃岐うどん」発売の「くら寿司」に聞く
「くら寿司」は他社に先駆けて麺類を充実させており、比較的早くにヒット商品に恵まれた。だからこそ、既製品やパックでいいはずのうどんに関しても、厨房でしっかり調理するノウハウを得ることができたのだろう。
「くら寿司」では寿司よりうどん・ラーメンを先に頼む方も多いといい、「回転寿司だけでない、サイドメニューの充実」の先頭を切ったうどん・ラーメンの存在が、同社にとってかなり重要なものであることがうかがえる。
「くら寿司」の釜揚げ・釜玉は冷凍 しかし「侮れない!各社の冷凍技術」

さて、こだわりの「讃岐うどん」極太麺は、どう開発したのか……「くら寿司」広報の方に伺ったところ、釜揚げ・釜玉うどんは「3年をかけて開発、麺はメーカーさんに弊社用に製造いただいているものです」とのこと。店内で粉と水の状態から練り上げている専門店と比べて、どうなの? と思いがちだが……実は、今どきの「冷凍讃岐うどん」は、結構スゴい。
冷凍うどん世界シェアの全国1位を誇る「テーブルマーク」は香川県観音寺市で創業、旧社名の「加ト吉」時代から、冷凍食品の歴史を作ってきたパイオニア企業だ。香川県綾川町(綾上工場。釜玉うどんの元祖「山越うどん」の近く)、名水の里・新潟県南魚沼市などに工場を持ち、「讃岐」だけでなく、「稲庭」など全国のご当地うどんを次々と開発・販売している。
また「四国日清食品」は、旧社名の「ピギー食品」時代から独自の凍結技術を持ち、「恐るべきさぬきうどん」で激賞され、いまも「名店並みに美味しい冷凍讃岐うどん」として知られる。もちろん、日清傘下となったあともノウハウは健在だ。
この2社だけでなく各社とも技術を持っているため、いまの冷凍食品各社の技術をもってすれば、「くら寿司」の求める「太く、伸びにくい」極太麺という要望に応えるのはお手の物だろう。なお、香川県は冷凍うどんの盛んな出荷もあり、冷凍食品全体の出荷額が全体の9.65%、堂々の全国トップだ。(2021年 総務省・経済産業省調べ)
これがうどんメインの専門店だと、コストがかさむ冷凍輸送より、店内で粉を自ら練ったほうが安上がりだ。ここは、回転寿司店の注文頻度だから提供できているといえるだろう。

なお、昔の都内で「讃岐うどん」といえば、麺のパックを開けて既製品のダシをかけただけの雑な店もよく見かけた。今や「丸亀製麺」「はなまるうどん」「こがね製麺所」などチェーン店や個人店など、各店ともしっかりと品質を保っている。かつ「くら寿司」でもこだわりの讃岐うどんをいただけるとなると……有難い世の中になったなぁ、と痛感するとともに、どの店でうどんを食べていいのか、さらに迷ってしまう。ぜいたくな悩みなのだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら