CATLは、前述の問題を克服するために神行Proを開発した。同社の説明によれば、一般的な車載電池では20万キロメートル走行後の劣化率が30%を超えるケースもある。それに対し、神行Proでは劣化率を9%に抑えることが可能で、ヨーロッパのリース用車両に最適だという。

神行Proには、充電性能の向上に重きを置いた「超急速充電タイプ」もある。CATLによれば、わずか10分間で走行距離478キロメートル分を充電できるほか、気温マイナス20度の極寒環境でも20分間の充電で410キロメートル走行できるという。
欧州勢もリン酸鉄系にシフト
EV用のリチウムイオン電池には、正極材の組成が異なる「リン酸鉄系」と「三元系」の主に2種類があり、神行Proは前者に属している。

電池のエネルギー密度に関して、リン酸鉄系は三元系に及ばない。そのためヨーロッパの自動車メーカーは、かつては(航続距離を延ばすため)三元系をより重視していた。しかし近年、技術革新を通じてリン酸鉄系の性能が大幅に向上し、三元系に比べた性能の安定性や原料コストの安さなどのメリットが高く評価されるようになった。
リン酸鉄系の技術革新を主導してきたのは、CATLに代表される中国の電池メーカーだ。ヨーロッパの自動車大手では、フォルクスワーゲン(VW)やメルセデス・ベンツがすでに(中国メーカー製の)リン酸鉄系電池の採用を開始。ステランティスはCATLと共同で、スペインに年間50GWh(ギガワット時)の生産能力を持つリン酸鉄系電池の工場を建設中だ。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月8日
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