不調の原因は「体内のエネルギー工場」の弱体化にあった?知っておきたい「ミトコンドリアと病」の関係
心臓はミトコンドリアが特に多い臓器。ATPが不足すれば、拍動が乱れたり、ポンプの力が弱まったりします。
心臓の機能が低下して、全身に血液を十分に送れなくなった状態を心不全といい、呼吸困難、むくみ、疲労感といった症状が表れます。また脈が速すぎる場合、遅すぎる場合、あるいは不規則な場合を不整脈と呼びます。
1分間に脈拍数が40以下になったり、120以上になったり、不整脈が起こると、動悸、めまい、息切れなどの症状が表れます。
心臓はその働きがハードであるため、ミトコンドリアが非常に多い臓器なのですが、ミトコンドリアの弱体化によりATPが不足すれば、拍動が乱れたり、ポンプの力が弱まったりして、心不全の症状を引き起こします。
糖代謝を支えているミトコンドリア
糖をうまく使えなくなるのも、ミトコンドリアが糖代謝を支えているからです。
エネルギー変換がうまくいかないと、血糖値のコントロールも乱れてしまいます。体内の糖の濃度が高すぎることにより、のどがよく乾いて大量の水を飲む、尿の回数が増える、疲れやすくなり、場合によっては意識障害を起こす糖尿病にもミトコンドリアの働きの低下が関わっています。
そもそも人間の長い歴史の中でも、現代の一部の社会ほどに食料があふれている状態はありませんでした。
人類は誕生以降、常に食べることに必死に生きてきたのです。人体はある程度の飢餓に耐えられるようにつくられているので、このような飽食という事態は「想定外」といえます。そのため、現代社会の一部の地域で暮らす人は内臓脂肪がたまりすぎて、生活習慣病に陥ります。
この生活習慣病の代表が糖尿病(生まれつき膵臓がインスリンを作ることのできないⅠ型は除きます)です。糖尿病を防ぐ、すなわち体内の糖度の濃度を下げる役割を担うのがインスリンです。
糖が多いと、ミトコンドリアはATPをたくさん作りますが、この増加を認識した細胞によりインスリンが分泌されます。
ところが、ミトコンドリアの力が弱っていると、糖が多くてもATPを作り出すことができず、そのためインスリンも分泌されず、血糖値が高くなり糖尿病となります。
また、ミトコンドリアの遺伝子が異常に変異することで発生する糖尿病もあります。これは「ミトコンドリア糖尿病」と呼ばれています。
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