まるで「粗挽き黒コショウのよう」野生動物の亡骸から無数の生物が這い出てくる恐怖――20年経っても慣れない解剖前のあの"光景"

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それでも咬まれてしまった場合、マダニは返し刃のついた口器を皮ふに差し込み、セメント質の物質で固定するため、簡単には取り除けません。無理に引き抜こうとすると口器の一部が体内に残ったり、病原体を含んだマダニの体液が体内に逆流したりする危険があります。

医療機関でマダニの除去とその後の処置を受けてください。

第二には、SFTSウイルスを保持している可能性のある動物との接触を極力避けること。野生動物を触ったり餌付けしたりすることは、マダニを人に近づけ、ウイルスの媒介リスクを高めるので、厳禁です。

また、飼っているイヌやネコが具合悪そうにしているときは、すみやかに動物病院に相談しましょう。

ペットがなんらかの感染症にかかっている可能性があるとき、あるいは飼い主が体調不良のとき、家族同然に大切であってもキスをする、一緒に寝るといった濃厚接触は危険です。

飼っているイヌやネコにおける対策

先ほど述べたように、みなさんが飼っているネコやイヌにとってもSFTSは危険な感染症です。飼い主が予防してあげましょう。まず基本となるのは、マダニの駆除薬を定期的に使用することです。

そして、ネコを飼っている方は、絶対に外に出さないようにする。

これまでの報告によって、SFTSに感染したネコには「ほぼ例外なく外出歴がある」ことがわかっています。したがって、ネコにとって最も効果的な予防法は、屋内飼育の徹底ということになります。

ネコには外を自由に出歩いてもらいたいと思う飼い主もいるでしょうが、外の世界はSFTSにかぎらずネコを多くのリスクにさらします(関連記事:飼い主が切望「泡を吹いて死んだ」愛猫の死の真相)。

飼いネコが外から病原体を持ち帰れば、それは人間――飼い主やその家族、さらには獣医師など動物医療関係者の命を脅かす可能性がある、ということを知っておいてください。

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