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ライフ #獣医病理医からみた「動物の話」

まるで「粗挽き黒コショウのよう」野生動物の亡骸から無数の生物が這い出てくる恐怖――20年経っても慣れない解剖前のあの"光景"

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  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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以前は西日本を中心に患者が発生していましたが、近年では東日本でも患者が見つかり、今年8月には北海道でも初めての患者が出るなど、SFTSウイルスを持ったマダニは日本全国に広がりつつあります。

SFTSの怖いところは、マダニを介してさまざまな動物に感染することです。とくに人やネコ、イヌなどに感染すると、重い症状を引き起こすことがあります。

人が発症すると、発熱、血小板減少、白血球減少、神経症状、全身倦怠感、下痢、リンパ節の腫れ、食欲不振などが見られ、その致死率はなんと27%にも達します。現時点では有効な治療法がなく、基本的には対症療法になります。現代の日本で人の致死率が20%を超える感染症というのは、相当な脅威といえます。

また、ネコの致死率は約60%、イヌでも40%以上と非常に高い一方で、感染しても無症状の動物もいます。

SFTSは、マダニに咬まれたときだけでなく、SFTSウイルスを保持した動物の血液や体液(唾液・涙)、排泄物、嘔吐物などを介しても感染します。実際に今年5月には、SFTSに感染したネコを診療した獣医師がSFTSを発症して亡くなるという痛ましい事故が起こり、ぼくたち動物医療関係者に大きな衝撃を与えました。

人間はSFTSをどう防げばいい?

すでに全国で患者が確認されている以上、日本に住むぼくたちはSFTSのリスクにさらされています。SFTSウイルスに感染しないようにするには、どうすればいいのでしょうか。

第一には、マダニに咬まれないようにすることです。

マダニは、SFTSに限らず、多くの危険な病気を運ぶ生きものであることを認識しておきましょう。マダニの活動が盛んになるのは、春から秋にかけて。キャンプや登山、紅葉狩り、キノコ狩り、やぶ払い、あるいは散歩などでマダニが生息する場所に入る際は、長袖・長ズボン・長靴下を着用し、肌を露出しないように。

明るい色の服は、付着したマダニが見つけやすいのでおすすめです。ディートという成分を含んだ虫よけスプレーも有効です。

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