「都民への罰」との声まで…首都圏に増殖中「まいばすけっと」はなぜこうも嫌われるのか? それは「強さ」の裏返しだった
例えば、まいばすけっとへの不満の一つとして「品揃えがどこも均一で面白くない」という声がある。ここはイオングループのスーパーマーケットで、商品コストを下げるためにプライベートブランドである「トップバリュ」がメインとして置かれている。
大きなスーパーは、同じ商品種でも、さまざまなメーカーのものが並べておいてあることが多い。けれど、まいばすの場合、それがPBを中心とした「必要最小限」の品揃えになっている。
また、効率化を進めるために店舗への人員配置を最小限にしていることもあり、店舗内に店員さんはあまりいない。レジも多くがセルフレジである。まいばすけっとはコンビニに似ているが、コンビニが提供するコピー機やトイレの貸し出しも行っていない。いわば、「商品」「レジ」という、スーパーに最低限必要な機能だけがある空間で、食事でいえば栄養を取る目的に特化した「栄養食」に近いといえるのだ。
よく言えば「効率的」、悪く言えば「無機質」な空間で、これを指して、「都民への罰」という人がいるのだろう(なお、これ以外にも惣菜や弁当の味への批判も多いが、これは店舗ごと、あるいは購入タイミングによっても異なる話なので、詳しくは触れない)。
都市空間の中に浮かぶポップ体が「違和感」を生む?
一方で、多かれ少なかれチェーンというのは、どこか「無機質」で「効率的」なものである。それ以上にまいばすけっとで顕著なのは、その急激な増殖の仕方である。
まいばすけっとは首都圏でドミナント展開(ある地域に集中的に店舗を展開して、物流効率や運営効率を上げる手法)を行っていて、高密度に展開している。その数はスーパーチェーンとしては日本一で、全国でもっとも多いチェーンが関東に密集しているのだ。
地域によっては、コンビニと同じぐらいか、それ以上にまいばすけっとを見ることも増えた。コンビニの居抜きで入居する例も増えている。そして、その店舗の増え方は急激で、2011年に分社化されてから、わずか14年ほどで店舗数は約5倍に増えた。
だから、まいばすけっとを直接利用していなくても、日常風景の中でふっと「まいばすけっと」が浮上してくる。突然、生活圏に侵入してくる……と言うと言い方がきついのだが、中にはそういうふうに受け取る消費者がいてもおかしくはない。
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