「和」を重んじる日本式の企業統合と上場────エージェントが提唱する「アライアンスIPO」は日本を救うか?
「まず上場前と上場後では話が変わると思っています。上場前までは、我々が過半数を保有し一定のルールの中で音頭を取らせていただくため、合理性や合意なしにどこかの会社がイニシアチブを取って他の会社を飲み込んでいくとか、いきなり社長解任されるとかということはありません。
上場後は、一般株主が加わりますので、企業価値の向上に向けて、グループ全体で最適な姿を模索していく形になると思います。それが合併という形もあると思いますし、現状維持という形もあると考えています。
いずれにせよ、グループの業績を上げることが各オーナーのリターンに直結しますし、自社の業績を上げれば、その分その会社のオーナーの実入りも大きくなるという仕組みになっています」
前述のとおり上場できる会社は非常に少ない。つまり、上場できない多くの会社の最後は、コツコツと続けていったとしても、いつかは倒産するか、解散するか、他の会社に買収されるか、しかないのである。だったら、一縷の望みをアライアンスIPOに賭けてみるのもアリなのかもしれない。
「上場するときには東証の鐘を鳴らすんですけど、その鐘を鳴らすゴールを、みなさんで一緒に目指しましょうということですね。M&Aだと、今いる経営陣は入れ替えて……というようなこともありますが、我々は現経営陣の方々で手を取り合って、一緒にゴールテープを切りましょう、そう考えています」
社員にとっても、日本全体にとっても良い仕組み
一従業員の立場から見ると「どうせIPOしたって役員がひと財産築いてウハウハなだけでしょ?」という意見もあるだろう。
もちろん、IPOは経営者が大きな利益を得る手段であることは確かだ。IPOを目指す段階で、業務プロセスが厳しくなり、これまで自由にやれていたことができなくなるから、特に古参の社員にとっては、いろいろと監査が入ったりして面白くないことも増える。
しかし、社員持株会のようなものが作られて、それに参加すれば社員も上場益を得られるし、それは一世一代の資産形成のチャンスになるかもしれない。また、勤めている会社が上場していれば、社員個人の社会的信用も高まる。
たとえば住宅ローンを申請する際、非上場企業の社員に比べて融資条件が有利になるケースが多い。そう考えると、多少日常業務での手間が増えても、会社のIPOに協力しようという気持ちになるのではないだろうか?

「中小企業を成長させて、生産性を向上させるというのは、日本市場における至上命題だと思うんです」と四宮代表。
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