「和」を重んじる日本式の企業統合と上場────エージェントが提唱する「アライアンスIPO」は日本を救うか?

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これにより、元の会社の経営者は自社の経営を手放さず、株式を49%持ったままIPOを達成できるというわけだ。

もちろん、この仕組みを聞いた多くの人は「そんなに上手くいくわけがない!」とおっしゃると思う。

「ホールディングスが51%の株式を持つなら、元の会社の経営者は権限なんてなくなる」「異なる文化の会社が集まっても、ひとつの会社として上手くいかないのでは?」「旧会社の経営者が集まってホールディングスを経営するといっても、結局そこで覇権争いが起こるだけ」……などなど、誰もが持つ疑問だろう。

しかし、エージェントの四宮代表はこう語る。

「提携」はするが、「一緒」になるわけではない

「たとえば、採用や経理や管理業務は各社共通して行った方がいいし、営業も協力した方が効率的です。その方がコストも下がるし、生産性も上がります。提携はしますが、協力し合う関係になるだけで、一緒になるわけではありません。ひとつ上に事務局的な仕事をするホールディング会社がひとつあって、あとはそこにぶら下がる形で、各社がそれぞれの事業を行うということです」

また、参加するSES企(システム・エンジニアリング・サービス)業がお互いに商流をカバーし合い、人材を融通し合い、より効率的な企業経営を目指せるメリットもあるという。

これまで手塩にかけて育てた会社の51%の株式を渡すというのには抵抗のある経営者が多いのではないだろうか? 簡単に言うと「オレの会社じゃなくなるんじゃないか?」「誰かにイニシアチブを取られてしまうんじゃないか」という不安があるのではないだろうか?

エージェント 四宮代表
エージェントの四宮代表。アライアンスIPOで達成したいのは日本全体の業務効率の向上だという(写真:筆者撮影)

「もちろん、一定のルールは必要です。好きなようにお金を使いたいとか、一存で社員をクビにしたいとかいうことはできませんから。互いに決めごとの中で、グループを盛り立てていきましょうという大前提で話し合いをします。その範疇において、今まで通り代表取締役CEOとして会社を経営することが可能となります」

「なぜ、一緒に協力し合えるかというと、グループ全体の企業価値を上げると、それはグループ全体の収益の底上げにもつながるわけで、すなわち自分へのリターン、働いている従業員の方々へのリターンにもつながるため、対立しにくい構造になっています。対立しづらい構造になっているんです」

それにしても、ホールディングスの中でも主導権争いは起こるだろうし、最終的にいずれかの会社がイニシアチブを取るとか、ひとつの会社に飲み込まれていくようなことにならないのだろうか?

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