「和」を重んじる日本式の企業統合と上場────エージェントが提唱する「アライアンスIPO」は日本を救うか?
まず第一に、一定水準の売り上げ・利益規模が求められる。また、創業者依存の少人数が動かす経営から脱却し、取締役会や監査役会を整備しなければならない。会計や業務プロセスも外部監査に耐えられる水準に整備する必要がある。
また、法令遵守体制が未成熟だと審査に通らない。これは一般の従業員の日々の仕事にも影響する。業務プロセスにチェック項目が増え、承認フローが複雑になる。
わかりやすく言えば、タイムカードや、休暇申請などの運用も厳格になるし、細かい経費精算も「上司がいいと言えばOK」というものではなくなり、一定の基準を設けそれを全社的に遵守することが要求される。
簡単にいえば、役員だからといって「会社の経費でキャバクラへ行ってヒャッホー!」というわけにはいかなくなるということだ。たとえ役員でも、経費の使用には、それがちゃんと会社の利益を上げるための活動なのか? という監査が入る。
また、社外に出せる情報が厳格に管理され、一般社員も日常の発言やSNS利用に気をつけなければならなくなる。

具体的に言えば、IR活動や決算開示、監査などに費やす労力が増し、売り上げ・利益水準も上げなければならないのに、IPOに向けての会社の整備自体に多大な努力が必要になる。
これは上場前の小さな会社にとっては大きな負担となり、IPOを目指していろいろ努力したのに、結局そこにエネルギーを取られて経営の方が傾く……という「IPO疲れ」「上場準備倒れ」のような現象さえある。
上場会社をハンドリングできる有能なCFOを呼んできて、IR担当者や、法務担当者などの専門家を揃えて……というのは、やはりかなりのコスト負担になるのである。
1社では難しいIPOに協力して取り組む新しい仕組み
それを、同じようにIPOを目指す企業同士でタッグを組んで乗り越えようというのが、株式会社エージェントが提案する「アライアンスIPO」という仕組みだ。
まず、ファーストステップとしてエージェントが51%の株式を取得。その51%株式を元にホールディングスを新設。元となった企業の経営者は、それぞれの企業を経営しつつ、ホールディングスの経営にも参加する。そして、最終的にそのホールディングス会社でIPOを目指す。

無料会員登録はこちら
ログインはこちら